16期生の11月22日講座報告

年月日  2023年11月22日(水)  快晴

講座名:紅葉と冬芽の観察

講師: 栗谷 至 先生

(大阪自然環境保全協会理事)

場所: 和泉シティプラザ・宮の上公園

紅葉と冬芽の知識を得て、午後から泉北高速線和泉中央駅から桃山学院大学のある宮の上公園までの約2㎞を樹木の紅葉や冬芽の解説を受けながら歩いた。

「大阪にあってもコナラです」などと少し脱線気味な紅葉と冬芽の座学を受けた。紅葉には紅葉・黄葉・褐葉と3種あり、いろいろな色素ができたり、葉緑素が分解されたりで違いが生まれる。紅葉の3大要素は①日光②低温③温度差であり、年や場所や枝のついた箇所によって差がある。冬芽には「花芽」と「葉芽」と「混芽」の3種類あり、葉が落ちる冬の時期に目立って枝先にみられると教わった。

午後は晴天のなか、歩き出してすぐヤマモモにからみついたクズの除き方(根元をきる)。続いてマンション前のシマトネリコは奇数回羽状複葉で種のつき方も造りも同様だと確認した。10分ほど歩いた歩道橋の上から見事な黄色に色づいたメタセコイヤに見とれながらその話を聞き、クヌギとクリの葉の違い、シラカシとアラカシの違いなどについてなど次々と話は続く。公園にいつたどり着くのか心配になってきた。

宮の上公園ではケヤキの種子の付いた枝先を飛ばしたり、サクラの枝先の冬芽と芽鱗痕から樹齢を想像したり、サクラの落ち葉から香りを楽しむ方法を聞いたり色々と楽しい話があった。最後に紅葉したイロハモミジとその翼果の見事な様子を見て観察を終えた。

見逃してしまう街の風景の中にも、足を止めて見つめてみると気づかなかったものが多くあることを知った。サクラの冬芽を見ながら春に咲く花や緑葉に覆われる姿や季節を思い、ホッコリとした暖かな一日だった。(H.I)

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気持ちよい青空にメタセコイヤの   黄褐色が映える

話は続く、講師は話のタネをたくさん
引き出してもらったので

サクラの枝中央部にある芽鱗痕、
これから先が1年で伸びた枝

 

 

 

冬芽もいろいろ

 

 

 

見事な紅葉と翼果、クルクル回って飛んでゆけ

16期生の11月15日講座報告

年月日  2023年11月15日(水)  晴れ

講座名:奈良公園の巨樹観察①

講師:甲斐野 幸一先生(グリーンあすなら代表)・スタッフの方2名

場所:奈良公園(興福寺周辺・春日大社周辺)

 穏やかな秋晴れの中、奈良公園での観察会が始まった。まず初めに配られた紙に各自誕生日を書いて提出。これは後の楽しみだとか?次に画用紙が配られ、それぞれの葉っぱ図鑑を作ることに。葉やドングリを拾っては説明を聞き、セロテープで貼り付けてメモをする。ソメイヨシノからスタートし、スダジイ、イチョウ、クスノキ、興福寺の五重塔を見つつ移動。橘の実を愛で、次はクロマツ。葉の観察、ムササビのエビフライを探し、松脂のにおいや樹皮の亀甲模様を確認。松くい虫で枯れた松、足元の芝生、なぜか奈良には多いナンキンハゼの謎を理解。サイカチの棘に驚き、ムクロジの実からできる石鹼水や数珠の話から日本の習慣の歴史にも触れた。イチイガシやケヤキを見て、荒池園地で昼食。

 午後からは巨樹観察を中心に移動。エノキ、コブシ、イヌシデの種が風で舞う姿を想像し、飛火野へ。見渡す芝生を移動して、大洞クスノキを観察。八度の落雷で中は空洞で今も黒く煤けた跡が残る。それでもしっかりと樹皮が巻き込み生き続ける巨樹の生命力に感動。クスノキ三兄弟や、ケヤキとクスノキの共生する姿に植物の知恵を知った。

 ただ樹木を観察するだけでなく、この異常な気候変動の中でも逞しく慎ましく、そして共生しながら命をつないでいこうとする植物の知恵や不思議に触れた。また実験あり、樹高や幹周を測ったりするなど、有意義で楽しい観察会だった。

 さて、最初の誕生日を書いた紙は、それぞれの誕生木が記入されて手元に返された。短い昼休憩のときにガイドさんたちが全員分調べて書いてくれたのだ。(私はオウゴンキャラボクだった。)すてきなマイ葉っぱ図鑑とともに、なんて素敵なプレゼントだろうか。「ありがとうございます。」 K.T

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本日の収穫、世界で一つのマイ葉っぱ図鑑!

ムクロジの実(左)・シカの大好きなスダジイの実(右)なかなか見つからないのはなぜ?

石鹸できました!原料はムクロジの実の皮。

ムクロジの巨樹、中の空洞には立派な竹が。ちょっと心配。

立派なエノキの根。かつて土塀の上にあった根。土塀は崩れ、あとは形だけ?

重なる落雷にも耐えてきた大洞クスノキ。守っていきたい。

決して捕まったのではありません。巨樹(イチイガシ)の大きさを実感しているのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

16期生の11月8日講座報告

年月日:2023年11月8日(水)晴れ

講座名:地質観察①

講師:佐藤隆春先生 大阪市立自然史博物館 外来研究員

場所:ノバティホール ・汐ノ宮

 晴天に恵まれた気持ちの良い秋の一日、汐ノ宮で地質観察を楽しんだ。

 午前は座学。佐藤先生が執筆された学術的な冊子を見ながら、古瀬戸内海と瀬戸内火山岩類について説明を受けた。その後ジオパークとは、から始まり、大阪東南部の地形地質、嶽山と汐ノ宮の火山岩や河原の石ころ、川の作る地形について講義を受けた。

 午後は汐ノ宮に移動し、石川の川岸をたどって川の中ほどの溶岩の観察を行った。柱状節理を間近に見、手で触れて上から下へ移動すると滑らか、下から上へは引っかかりがあることを確認した。柱状節理の一辺は約20cmあり、高さはその10倍の20mくらいあるらしい。溶岩の冷却面に対して垂直に柱状節理が入ることを、乾いた田んぼや鏡餅を例にわかりやすい説明を受けた。溶岩と泥岩の境目では、黄色い泥岩の中に溶岩が入り込んで混ざり合った黒い安山岩が見られた。泥の地面に溶岩が流れ込んだ境目には、崖の斜面があったと考えられるらしい。1500万年前に溶岩が流れ、石川はまだできてから40万年くらいしかたっていないという。川面にはあちこちで炭酸ガスが湧出する様子が見られた。岩石の観察では泥岩の中にガラス質の鉱滓、カンラン石の宝石ペリドットを見つけることができた。ずっとこのままここに居たいような気分だったが、先生に促されて次は河原の石ころ観察。河原の石は上流から流れて来るので、そこから地層を知ることができるという。それぞれに石を集めて先生に同定をしていただいた。

 溶岩と石川を離れ、次は段丘断層の観察。平坦部分は段丘で急な断層は川が流れていたところだという。実際に段差の場所を見ることができた。坂の途中の土が露出した崖では石ころが見られた。これは昔の石川で28000年前の地形らしい。最終目的地の菅原神社の前で、この辺りも石川だったと聞いた。

 壮大な時間スケールの話を、身近な地域の地質地層の成り立ちをテーマに勉強し、汐ノ宮のジオパークに魅力を感じ、地質について興味を持つことができた。                                           E.H.

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16期生の11月1日講座報告

年月日  2023年11月1日(水)  快晴

講座名:ブナ林の保全

講師: 土井 雄一 先生(和泉葛城山ブナ愛樹クラブ代表)

場所: 和泉葛城山の山頂付近

ブナ生育の南限の環境に近い和泉葛城山では、ブナの自然林が国の天然記念物の指定を受けてから100年を迎える。

快晴の中、午前中はブナ林を周遊し観察した。午後からは愛樹クラブでヒノキ伐採と丸太切りを体験した。愛樹クラブは自然林の周辺でブナの植樹や育樹などをしながらブナの森を守る活動をされているボランティアグループ。

ブナとイヌブナの樹皮や葉の違いなどを聞きながら歩いた。標高が低く気温が高めの葛城山では自然林のブナが減少を続けており、枯れたブナも多く見受けられた。観察の終わるころにはブナとコナラやリョウブやウリハダカエデなどとの区別ができるようになった。ブナは5~6年ごとに多くの実をつけるが、今回はブナの殻斗や実は全く見当たらず足元は落ち葉だけだった。

大峰や高野の山並みを見渡せる広場での昼食ののち、愛樹クラブの作業場に移動してヒノキの伐採を体験した。木を倒す方向を決め、倒す方向に受け口を切り、反対側に追い口の切込みを入れる。その後、木に結び付けたロープで引き倒す。交代してノコギリで切込みを入れる実習をするが、斜面の足場やノコギリの使い方が難しく助けてもらうことが多かった。講座生がロープを引き、倒したヒノキの枝を切り払った。

ブナの自然林は減ってはいるが、和泉葛城山の山頂付近ではブナに加えコナラやカエデやリョウブなどが色とりどりに見事な紅葉を見せてくれた。天気に恵まれて暖かな楽しい一日であった。(H.I)

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見事な大きさと枝ぶり、ブナも歳を経ると貫禄あるな!

色とりどりな紅葉に思わず見とれて立ち止まった。

ブナの殻斗(カクト)と果実、今年は見つけられなかった。

自然林のブナの5年くらいの実生、若いね、うらやましい。

腰を入れ受け口を切る、なかなか様になってるよ。

ヒノキの丸太切り、持ち帰ってヒノキ風呂かな?

上天気と紅葉に満足、講座生と先生が集合

16期生の10月25日講座報告

年月日  2023年10月25日(水)  晴れ

講座名:きのこ入門

講師:丸山健一郎先生(関西菌類談話会)

場所:ノバティホール・烏帽子形公園(河内長野市)

今回は、「きのこ入門」ということで、きのこ超初級の16期1年生。カラフルで豊富な資料ときのこの巨大模型を使って、いろいろな角度から楽しく詳しく興味深く説明してもらった。きのこに対する認識もすこし変わった気がする。自然界の中できのこの果たす役割や、菌根ネットワークの話、きのこと動物や植物との比較など、興味深かった。オマケの菌類利用の最前線の話から、代替肉・代替脂肪・代替レザー・代替プラスチックなど、さらにマイクロプラスチックの問題解決にも一役買ってくれるのではないかと。菌類の力の偉大さを感じた。菌類すごい!マッシュルームウオッチングの楽しみ方も学び、午後からの観察がワクワクするものとなった。

そして、秋晴れの中、趣のある高野街道を歩いて烏帽子形公園へ。うまく見つかるかなあと心配しながら、紙袋と割り箸をもっていざ採集。みんなの熱意の賜物か、途中の烏帽子形神社の祈願のおかげか、1時間ちょっとで30種以上のきのこを観察、採集することができた。「えっ、これもきのこ?」「小っちゃ~い!」「よく、見つけたね!」「きれい!」そしてお決まりの「これ、食べられますか?」の質問に、すかさず「どんなきのこも1回は食べられますよ。」と先生の優しい声。皆さん、2回目は一生ないかもしれないので、毒きのこには、くれぐれも注意してください。(中には、触っただけでも大変なことになるカエンタケもあり)

最後は、採集したきのこを並べて同定。顕微鏡も使ってクロアシボソノボリリュウタケの子嚢(しのう)の中の胞子も見ることもでき、すっかりきのこの魅力に憑りつかれた秋の一日だった。  K.T

【同定したきのこ(30種)】

・テングタケの一種・ベニタケの一種・カバイロツルタケ・ニガクリタケの一種・アセタケ・アカヤマタケ・ハラタケの一種・ムササビタケ・ホウライタケの一種・ウチワタケ・ワヒダタケ・エゴノキタケ・ハカワラタケ・ホウロクタケ・カワラタケ・ウズラタケ・ネンドタケ・カワウソタケ・ニクウスバタケ・コフキサルノコシカケ・ツガサルノコシカケ・アラゲカワラタケ・クジラタケ・ホコリタケの一種・ニセショウロの一種・ノウタケの老菌・クロコブタケ・チャコブタケ・クロアシボソノボリリュウタケ・サガリハリタケ・おまけでムラサキホコリ(粘菌)の一種も見つけました(笑)

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大きなきのこの模型でわかりやすい説明

なんとアリから生えた冬虫夏草        (きのこ)

 

さて、きのこはどこだ?                 (烏帽子形公園できのこ採集)

これもきのこ?サガリハリタケ見~つけた!

本日の収穫物を並べて同定します

最後に、可愛いきのこたち!ハイ、ポーズ❣

 

16期生の10月18日講座報告

年月日:2023年10月18日(水)晴れ

講座名:天体入門

講師:中島健次先生 那須香大阪天文台

場所:SAYAKAホール

 太陽、月、天体望遠鏡、惑星、恒星についての話、星座早見盤の作成と利用の仕方そしてプラネタリウムソフトMitakaを使った宇宙旅行の講座を楽しんだ。

 地軸の傾きにより季節によって太陽の高さが異なる事。太陽の黒点フレアの観測。フレアによって磁気に乱れが生じGPSの誤差が増えて電車の安全システム、車のナビ、流通管理システム、ロボットによる農作物の収穫に異常が生じる事。金環日食、皆既日食の起こる理由。月については皆既月食、部分月食、中秋の名月や旧暦で長い期間月を愛で楽しむ日本の文化の話。太陽の周りを回る惑星についてそれぞれの特徴について詳しい説明があった。地球には一つの衛星、月があるが木星には95個、土星には146個もの衛星があるという。星座の星(恒星)については春夏秋冬それぞれの大三角形を目印にして星座を構成する星についてギリシャ神話を交えながらの説明を楽しんだ。

 プラネタリウムソフトMitakaでは地球から見た星空と地球からどんどん離れて宇宙から見た星空の両方を見る事ができた。我々の住む銀河系以外の銀河まで眺め最後には宇宙の果まで連れて行かれた。今わかっている宇宙全体を画像で見ることによってイメージしやすく理解が深まった。

 理論的な詳しい説明と同時に楽しい解説が心地良かった。

 最後には講座生からの質問に対して詳しい解説があり、知れば知るほど奥の深い学問だと実感した。

 夜空を双眼鏡で楽しみたいと思う。  E.H.  

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16期生の10月11日講座報告

月 日:2023年10月11日(水) 曇りのち晴れ

講座名:里山の保全と生物多様性

講 師:田淵 武夫先生

場 所:富田林 奥の谷

 近鉄長野線滝谷不動駅に集合して滝谷不動尊めざして歩く、20分ほどで「奥の谷」入口に着いた。「奥の谷」は「富田林の自然を守る会」が里山保全をされている電気も水道もない自然あふれる里山だ。

 里山保全と生物多様性について、野外での座学が始まった。落葉広葉樹林の林床を整理し太陽の光が差し込めば、スプリング・エフェメラル(春の妖精)と呼ばれる植物たちが早春に一面に花を咲かすこともできるとの説明を聞き、この里山にシハイスミレやチゴユリが咲き、蝶が飛ぶシーンが頭に浮かんだ。しかし、現実の「奥の谷」里山林では ①雑木林にヒサカキが密集し林床が暗い ②スギなどの人工林に手入れがされず林床が暗い ③竹の侵入などの問題があり、その対策として人工林や竹の間伐をするとともに雑木林でヒサカキの伐採を行っている。

 今日の里山保全実習は雑木林のヒサカキの伐採だ。昼食後、ヘルメット、スパッツ、のこぎりとベルト、皮手袋を着用した講座生はどこから見ても山の作業人になった。首筋から足首まで虫よけスプレーを振りかけ準備は万端、三人一組でヒサカキの伐採に取りかかった。講座生は急な斜面に注意しながら、伐採の指示を受けたヒサカキを一生懸命に切っていく。のこぎりの使い方にも斜面の足場にも次第に慣れ伐採作業は進んだ。作業は1時間超であったが多くの木を伐採することができ、結構広い斜面の林床は日が差し明るくなった。講座生は達成感に表情も明るく、疲れた様子も見せずに満足感がうかがえた。

 トンボが田畑の中を飛び回り、カマキリが講師の頭の上に飛んでとまる、子供のころの風景を残す「奥の谷」の里山からは心の安らぎを与えられた。自然から受けるサービスの一つを実感できた一日であった。  (H.I)

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稲穂がまぶしい「奥の谷」の風景

講師の帽子の上にカマキリが飛んできた

ヒサカキの伐採開始、どんだけ切るんやろ

 

 

斜面の上のほうまで伐採が進み、            大分斜面が明るい

伐採作業の成果物、すごいやん!

稲穂の奥には伐採した明るい斜面が見える

やったね!みんなでバンザイ

16期生の10月4日講座報告

年月日  2023年10月4日(水)  晴れ

講座名:自然観察の視点

講師:菅井 啓之先生

場所:堺市立栂文化会館・西原公園

 「自然を観察する」とは、どういうことなのか。ただ、「見て知る」のではなく、「自然」を自分の目で捉えて、自分から何かを感じて発見する、「気づき」を大切にすること。それこそが「自然観察」なのだと教えていただいた。「気づかなければ、何も見えない。」は、とても印象に残る言葉だ。

菅井先生からいただいた資料の冒頭に、「不思議を感じ、いのちを味わい、生き方を学ぶ自然観察の視点」とあったが、「自然」を「いのちの営みの不思議」として捉えること。見て知るのではなく、心の目で直観し洞察したとき、はじめて「いのち」そのものが見えてくる。いのちってすばらしいなあと感じ、いのちのすごさに気づく。そして、自分のいのちもまた、生物の多様性と深くかかわり、支えられて存在しているのだ、と気づくことの大切さなど、いかに「気づき」が大切かを教わった。そして「気づく」ためには、「視点を変える」「見ようと意識する」「出会ったその時、その場所で、その物だけでなく、そのまわりや奥にあるいのちの営みの深さや、関わる全てのものの在り方を見る」ことが大切だと。

自然観察は、「自然」という窓を通して世界を見ること。それは、人生を豊かに深くするための窓でもあるのだろうか。「自然観察、奥が深い!」と感じる講義だった。そして、先生の博識とユーモアたっぷりの話で教室に笑い声がわく。1例をあげれば、いのちとしてみるとゴキブリが天然記念物級のすごい存在なのだと。(私の中でゴキブリの認識が変わりそうだ。)シロツメクサの種も素敵なプレゼントだった。(あれだけ採集するのは、大変な作業だろうな。)

午後からの自然観察では、100mと歩かないうちに、次々に出会う「気づき」。1時間半の中で20以上の不思議に出会えた。文化会館前の道路の石に始まり、街路樹や道端の小さなカタバミ、季節外れの桃の花やツクツクボウシ、空の雲のでき方やケヤキの幹の不思議、キノコと地衣類の共生、なめくじの出現、カラフルな落ち葉、クスノキの葉の作戦、最後にカラスの糞の芸術作品のお話などなど。なんといのちの営みの不思議なことか。世界は不思議で満ち溢れている。すばらしい、そして楽しい自然観察会だった。(K.T)

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ハート形の可愛い姿、おまんはだれじゃ?          (シロツメクサの種だよ。)

文化会館前の石。このつるつる光る石は?          (硬いチャートが人を支える。)

こんなところにもいのちの営みが…                 (健気なカタバミが黄色い花を咲かせる。)

植えたばかりの桃(10歳くらい?)を10年以上の杉の間伐材が支える。これもまた共生か。

橋を挟んで2本のモミジバフウ。紅葉している(左)、まだ紅葉しない(右)、なぜ?

きれいに色づく葉、秋だなあ!この色は?大きさの違いは?(きっとそれぞれに意味があるのです。みんな違ってみんないい!)

16期生の9月27日講座報告

年月日:2023年9月27日(水)晴れ

講座名:気象と天気

講師:木村修治先生 (気象予報士)

場所:ラブリーホール

 雲はどうしてできるのか。空気には重さがある。地表では1mあたり10トンにもなるにもかかわらず私達は同じ空気の中にいるので釣り合っている。風船は上空で膨らむ。水蒸気は目に見えないけれど、冷えると水になり目に見えるようになる。などクイズ形式で説明を受けた。また、講師が実際に高山の空気をペットボトルに入れて持ち帰ったものが大阪ではぺしゃんこにつぶれている様子など、実物の紹介は受講生の興味を引いた。実験では、空気を抜いて密着させた2つの半球の容器は外からの空気の圧力に押されて離れない事や、少量の水を入れ振り混ぜたペットボトルにポンプで空気を入れて急に栓を外すと雲ができる様子を確認した。

 高気圧、低気圧の風の流れ、地上天気図、気象衛星ひまわりの画像、レーダー画像から四季の変化や台風のでき方、進路、海水面の上昇などの説明を受けた。身近なことではあるが理屈で考える機会の少ない気象について、理論に基づいた知識を得る機会になった。

 また、防災に関してハザードマップの見方、気象庁のホームページで得られる気象の情報やNHK防災アプリの活用方法など、防災に関する知識を持って自分を守ることを教わった。スマートフォンを使って日常的に使いこなしておく必要を感じた。

 合間の豆知識として、日本の雨の種類(春雨、小糠雨等)雨かんむりの漢字(雫、靄など)雲の種類(飛行機雲、ひつじ雲等)光学現象(彩雲、ブロッケン現象等)の紹介も、気分を変えて楽しめた。本格的な山好きの講師が自らの写真や経験を例にあげての講座は、ぬくもりのある興味深いものとなった。    E.H.

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16期生の9月13日講座報告

年月日:2023年9月13日(水)  曇りときどき晴れ

講座名:金剛山の植物

講師: 神山 善寛 先生

(金剛山の植物に親しむ会、元ちはや園地ミュージアム館長)

場所: 金剛山黒栂谷

前日の激しい雨のなごりか、濁った水が流れる金剛山登山口に集合、初めての山の植物観察が始まった。春に比べて花は少ないのではとの心配をよそに、たくさんの秋の野草を楽しんだ一日となった。

金剛山黒栂谷は平地より3~4℃気温が低く、植生は常緑広葉樹林帯、山頂あたりでは落葉広葉樹林帯との境界にあたると講師から話があり、続いてユリ・スミレ・ホトトギス・キクなどを例として、花の構造の説明を受けて出発した。

歩き出してすぐに林道上にスズメバチの巣が落ちており、ちょっとビックリ。ハチがいなければ大丈夫と聞き少し安心したが、いきなりスズメバチの巣の解説から始まった。

林道脇にはシュウカイドウやヒガンバナ、ミズヒキが咲いていて、色とりどりで目を楽しませてくれる。赤いツリフネソウもかたまって咲いていた。その周りをモコモコとしたマルハナバチが飛んでいて、ときどき蜜を吸うためにツリフネソウの花の中に潜り込んでいく。蜜腺の位置と花の形がこのハチを選んだのだ。この花とハチの関係は深い。

派手さはないが多くの野草が咲いており、名前をメモしただけで30種以上の野草が。それぞれの花について話を伺った。そのたびに交替で写真を撮り、楽しい時を過ごした。

昼からは講師がとっておきの野草を用意してくれていた。林道わきの見逃してしまうようなところにヤマトホトトギスが咲いていた。ユリの仲間だが、山の中にひっそりと咲き、ほかの花とは少し違ったその姿から、森の不思議を見つけたような思いがした。(H.I)

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シュウカイドウの群落:咲きそろった様はみごと、林道歩きが楽しい。

ツリフネソウ:下の大きな花びらがハチの足場になる。やさしいね。

ツリフネソウにハチが潜り込む様を体全体で詳しく説明。なるほど!

ヤマホトトギス:ユニークな姿と名前の由来となった特徴的な斑紋。見とれるね。

スズメバチの巣:落ちて壊れていたが、巣の内部には柱も壁もあった。ハチは見事な大工さん!

ヨシノアザミとマルハナバチ:長くて丸いカラフルな体毛がカワイイ、ヨシノアザミの蜜もOK

ヒガンバナ:秋の道端を彩る。鮮やかの一言

 

16期生の9月6日講座報告

年月日 : 2023年9月6日(水) 曇り・雨

講座名 : 地球環境問題と私たちの未来

講 師 : 巌圭介先生(桃山学院大学 社会学部教授)

場 所 : 堺市立栂文化会館

 過去126年で最も暑い夏、6~8月全国の平均気温が統計上最高に(気象庁)という報道があったが、世界気象機関WMOも今後5年で世界平均気温は最高になるだろうと予測しているとか。言葉だけでなく、誰もが異常な暑さを実感した8月だった。

 今回の講座のテーマ、地球環境問題とは、まさにこの気候変動(地球温暖化)の問題だ。いわゆる産業革命(1750~1850年代)後の100年間のCO₂の排出量はその後の50年でさらに加速、なんと4倍以上に増加している。2015年のパリ協定で「世界の平均気温上昇を、産業革命から2度未満、できれば1.5度未満に抑える」「今世紀後半に温室効果ガス(大気中に含まれるCO₂やメタンなどのガスの総称)の排出を実質ゼロにする」と決めたが、50年で4倍以上に膨らんだものを50年でゼロに……?さらに先生から「あと20年程度で世界のCO₂排出をゼロにしなければ取り返しのつかない変化に見舞われる」と聞き、今日は悪い意味で目が点に。ようやく地球温暖化がいかに恐ろしいものかと気づかされた。(えっ、これでは私たちの未来はどうなるの?)脱炭素技術、いわゆるクリーンなエネルギーを作る技術も進み、大いに期待したいところだが、それを作るには、それ以上のエネルギーが必要だとか。(う~ん、どうする人間)

 ヒトが使える一次エネルギーは、たった3種、化石燃料・核エネルギー・自然エネルギ―だと教わった。安心安全なのは自然エネルギー。太陽光・風力・水力・バイオマスにせよ、すべて太陽エネルギーにかかわっている。と言われてもなかなか太陽エネルギーのすばらしさを実感することは難しい。そこで、太陽熱がいかに利用できるか実感できるものとして、講座に取り入れてくださったのがソーラークッカー作りとソーラークッカーによる調理体験。残念ながら、昨日まで晴れだったのが、今日はなんと曇り・雨。調理はできなかったが、ソーラークッカー作りに真剣に取り組み、完成。レンジシートとクリップだけで簡単に。後はお手製の黒い缶に卵を入れてゆでるだけ、だったのに残念。ゆで卵は宿題ということで卵1つずつをお土産に持って帰ってもらった。さらに先生からはソーラークッカーの型紙のコピーまでいただき、楽しみが増えた。

 午後からは、「どうやってCO₂排出をゼロにするのか(脱炭素への道)」についてグループ討論。皆さん真剣に意見を出し合っていた。その一つ一つの提案・意見にたいして先生から丁寧な説明があり、私たちも深く考えさせられる1日だった。私たちの未来を、若者たちや大企業、国家に任せるだけでなく、私たちシニアも地球環境問題について考え、できることをコツコツと無駄なく実行していきたいと思った。(一人で考えるよりみんなで考えるっていいものですね。知恵がわく。勇気がわく)         (K・T)

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 CO₂をどう減らすのか?

 まずは、ミニで練習

 意外に簡単かも

 できましたね!

   

   完成!
巌先生発案のソーラークッカー3号
  「マンタレイ」

16期生の7月26日講座報告

年月日 : 2023年7月26日(水)晴れ

講座名 : ビオトープ入門

講 師 : 木村 進先生(大阪自然環境保全協会理事)

会 場 : 泉北高校

 泉北高校に到着して少し汗が引いたところでまずビオトープ池で生き物の採集をおこなった。背景にはコナラやシリブカガシ、水辺ではアカメヤナギの木、オオミクリやヨシ、ツルヨシ、ジュズダマなどが茂る水たまりのような池でじっと目を凝らし生き物を探した。慣れてくると大胆に網を使ってヨシノボリやトンボのヤゴ、アメンボ、ヌマガエルを採ることができた。植栽した植物以外にも自然に環境に合う植物が現れたり水鳥に運ばれてきたと思われる水草が増えているという話があった。

 冷房の効いた実験室に戻りプランクトンの講義の後、前もって準備していただいたプランクトンを顕微鏡で観察した。試料に合わせて倍率を調整したり接眼レンズを通して写真を撮ったり集中して楽しんだ。また、ビオトープ池で採集した試料も検鏡し微小な生き物を見つける事ができた。小さな池でも多様な生き物が生息していることがよくわかった。

 午後は、学校ビオトープ池の造成と管理についての座学。ビオトープについての考え方、造成のプロセス、完成後の長年の調査やそのデーター蓄積について興味深い話が聞けた。生態系を底辺で支える植物性プランクトンの話から発展しビオトープ池という人工の生息環境を作ることでそこにも地域に生息する生物との繋がりができ自然環境を豊かにする事ができる事を教えていただいた。話題が植物、昆虫、両生類など幅広く楽しい講座となった。(E・H)

16期生7月19日の講座報告

年月日  2023年7月19日(水)  晴れときどき曇り
講座名:河口・干潟の生物
講師: 山田 浩二 先生(貝塚市立自然遊学館研究員)
場所: 近木川河口・貝塚市立自然遊学館

晴天の中、南海本線二色浜駅に集合。15分ほどの近木(コギ)川河口にある葭原でカニ釣りに興じ、昼からは二色浜の河口干潟で生物採取し同定を行った。
 竹竿にタコ糸を結び、重りを付けた2mほどのタコ糸にエサをつけ、葭の根本にあるカニ穴をめがけてエサを垂らした。カニがハサミでエサを挟み口に運ぶ瞬間を待つ、歓声をあげながら釣れたカニと格闘していた。1時間ほどの成果はハマガニとアシハラガニ。「水道水で飼えます、エサはなんでもいいです」と講師。
 午後は河口を二色浜まで歩き、潮の引いた干潟で石の裏や潮だまりなどをタモ網やスコップで浜の生物採集を行った。同定で判明したものは、ハサミの片方が大きく白いハクセンシオマネキ、めずらしく前に歩くマメコブシガニ、イソガニ、ユビナガホンヤドカリ、ユビナガスジエビ、タテジマイソギンチャク、あさり、クチバガイ、みんながウナギと間違ったミミズハゼ、ウミニナなどいっぱい。強い夏の日差しの中、無心に生きものを探したくさんの成果があった。(H.I)

意欲満々、さあ早くエサに食いついて。

干潟の石を裏返したり、何かいないかな。

葭のの根元にいたハマガ二。30分格闘したが釣れなかった。

左はメス、卵を抱くため、ふんどしが丸く大きい。

干潟のダンサー、オスは大きなハサミをフリフリ踊る。

カニなのに、前に歩く。変わり者です。

夏空の広がる干潟、みんなが無心に探した。

16期生7月12日の講座報告

年月日  2023年7月12日(水)  晴れ 

講座名:動物たちとの接点

講師: 天王寺動物園教育普及担当(久田さん) 

場所: 天王寺動物園      

午前は、「動物園の歴史と役割」というテーマで天王寺動物園職員の久田さんからお話を伺った。天王寺動物園は、1915年(大正4年)開園、東京、京都に続いて3番目に古く、今年で108年。時代の変化とともに、動物園も姿を変え、またその役割も変化してきた。今もまた、時代に合わせて新しく変化を続けているのだなあと、感じた。

さて、講話に続いてガイドウォーク。まずはリニューアルしたばかりのペンギン・アシカ舎へ。颯爽と泳ぐペンギンを下から眺め、お魚をもらって可愛く頭を下げるアシカにほっこり。さらにアフリカサバンナゾーンへ回って、カバ・サイ・キリン・エランド・シマウマ、さらに陰でねそべるハイエナやライオンににんまりしつつ、ガイドウォークを終了。暑い中、受講生の皆さんもしっかり質問し、それぞれの動物について、いろいろ教えていただいた。

 午後の観察では、アフリカサバンナゾーンで草食動物のごはんタイムを見学。間近に見るキリンの姿に感動。長いのは、首だけでなく舌も。上手に舌で葉をちぎるように食べていた。その後は自由に見学。久しぶりの動物園、可愛い動物たちの姿にほっこりする一日でした。 (K.T)

動物園の役割とは・・

空(水中)を飛び回るペンギン

飼育員さん、お魚ありがとう!!

可愛い~大きい~

ハルカス(左・メスのキリン)の向こうにハルカス

百獣の王者も暑さには勝てん?

 

16期生6月28日の講座報告

年月日:2023年6月28日(水)くもりのち雨  
講座名:両生類と爬虫類
講 師:木下裕美子先生 (堺自然ふれあいの森館長)
場 所:堺自然ふれあいの森

 最初に堺自然ふれあいの森とは里山を残して自然環境の保護、循環型管理を行い、遊びや学習、散策などを通し里山文化を伝承する場であると説明を受けた。次に両生類は魚に近い爬虫類は鳥に近いという違いを覚える事を目標に各々の生態の違いについて繁殖方法、雌雄の違い、見た目の特徴を学んだ。
 最後に4,5人のグループに分かれてのワークショップ。みんなのカエル池(湿地)の保護を中心に各々が住民、農業経営者、企業、市職員、ガソリンスタンドの立場から街づくりの計画を立てるため意見交換し結果を発表した。自然環境と人の生活について深く考える機会となった。

 午後の野外活動では、両生類と爬虫類にとらわれず植物や昆虫など講師自ら次々と見つけたものを紹介しながらの観察となりふれあいの森を楽しむ事ができた。カエル、ヘビが苦手という人もいたが改めて知識を得られて良かったとの声も聞かれた。カエル、オタマジャクシは観察できたがトカゲ、カナヘビの姿が見られずあきらめムードの中、森の中の朽木の下で発見しみんなで協力して捕まえ大盛りあがりになった。そして異常な土盛りの下にはモグラの穴があるのがわかり素手を突っ込んでそのしっかりした感触を確かめた。このように予想外の発見もあり気持ちの良い日になった。
 終了間際に雨粒がポツポツと落ちてきてタイミング良く大雨に合う前に帰路についた。     E.H.

16期生の6月21日講座報告

年月日 : 2023年6月21日(水) 曇り一時雨

講座名 : 磯の生物観察

講 師 : 山田 浩二先生(貝塚市立自然遊学館)・ 日下部 敬之氏(水産技術センター)

場 所 : 大阪府技術センター・豊国崎

 火力発電所が更地になり少し寂しい感がする多奈川駅に集合。歩いて25分で水産技術センターに到着した。同センターでは大阪湾を対象に「海辺を守る」「海辺を再生」「魚資源を調べる」「魚を増やす」という活動を行っている。映像による業務説明のあと大阪湾の主な漁法や主な魚種の展示水槽を見学。エサを水槽に落とすとなんと10尾ものヒラメが砂の中から姿をあらわした。

 栽培漁業のための稚魚飼育水槽の見学、水槽にはキジハタ・トラフグなどの稚魚や成魚が泳いでいた。キギハタは「あこう」と呼ばれる高級魚であるが大阪湾から出ていかないなど効率のよい魚種としてセンターでは力を入れて栽培放流している。

 午後はセンターから歩いて10分ほど、貴重な自然海岸「豊国崎」に移動、採取方法や注意を聞き、防波堤から磯の広がる波打ち際に降りた。真剣にまた童心に戻り石をひっくり返したり海藻に隠れている生きものを探した。潮の引きが弱く採取しにくかったが磯の動物の代表的な七門すべて採取できた。その後の同定では岩にへばりつく「ヒザラガイ」を解剖し、岩をガリガリかじるヒザラガイの歯をルーペで観察した。歯は磁鉄鉱でできており磁石にくっつくそうだ。 (H・I)

*各写真をクリックすると200%に拡大し、解像度も上がります。

大阪湾での漁法のジオラマ、よ~くわかります

ウニやタコはどこかな。いっぱい採れるかな

キジハタ10年生の成魚、おいしいですが顔はコワオモテ

先生の説明や皆なからの質問で盛り上がった同定でした。

触ると柔らかいスポンジのようなダイダイイソカイメン

 

16期生6月14日の講座報告

年月日: 2023年6月14日(水)  曇り

講座名: 水田のちから

講  師: 松下 美郎 先生

場  所: ノバティホール(多目的ホール)・惣代の棚田

 平年よりも早い梅雨入り、ぐずつく天気の中で、講座が始まった。 まず初めに「素朴な質問です。水田は自然でしょうか。自然としての価値はあるのでしょうか。」「赤とんぼは水田で繁殖することを知っていますか。」の質問に、皆さんはどんなことを考えただろうか。何か忘れていた大切なことを思い出させてくれたような気分になったのは、私だけだろうか。

 その後は、「難しい質問です。わかりませんよね。」と言いながら、話を進めていかれる先生のお姿が印象的だった。確かに細かな数字が並び、いささか難しく思ったが、一つの質問が次の質問へとつながり、さらに次の質問へと、ストーリーになっていたのだと思った。1970年代の大きな社会の変化。宅地開発や食生活の変化、また国の農業政策など、さまざまな変化の中で、水田や米の作付面積が減少していったことが、数字をとおしてわかった。 

 また、私たちの口に米が入るまで(農家さんが出荷するまで)どんな作業があるのか、また天候や害虫、カビなどとの闘いなど、どんなに機械化が進んだとしても必要な作業は飛ばすわけにはいかないこと。農地が狭ければ狭いほど、人の手も時間もかかる大変で大切な作業であることもよくわかった。それが棚田となれば、どんなに大変なことか。 また、水田だけでなく、周りの池や樹木や水路などなど、多く人の手が関わる環境の中で、長年そこに適応し、生息しているさまざまな生物との関係についても考えさせられた。

 午後は美加の台まで電車で移動し、惣代の棚田へと歩いた。心配したお天気も何とかもち、野外学習もできた。時期的にもよく、実際に田植えされたばかりの水田を観察することができ、先生の説明と合わせて、午前の学習の振り返りができた。また、農道を歩きながら、帰化植物や在来の植物を観察し、実地学習を楽しんだ。最後は、少し時間と体力的なこともあり、全員で最終目的地まで行かずに、希望者だけになったのは少し残念だった。(K・T)

棚田に続く道。間伐も大切な作業。

水田を観察。

「水田を守るとは・・・」

惣代の棚田

2022年に選定

ふるさとの誇りを未来に

16期生6月7日の講座報告

年月日:2023年6月7日(水)晴れ

講座名:昆虫入門

講 師:鈴木 真裕先生 (大阪公立大学大学院)

場 所:堺自然ふれあいの森

 座学では①昆虫とは?②昆虫の多様性③堺の昆虫の内容で学んだ。昆虫の種類は100万もあり動物植物その他全部の中で6割くらいを占めるという。昆虫の進化の過程や目(もく)による分類、昆虫の多様性と環境による影響について説明を受けた。例えば里山の雑木林、草地、畑、田んぼ、ため池でそれぞれ生息する昆虫が異なり環境が維持される事によって多様性が守られる。絶滅が危惧される昆虫は増加の傾向にあるが原因は4つの危機①開発乱獲②人間活動の縮小③外来種④気候変動だ。人が手入れすることにより維持されてきた里山が無くなることで生態系が大きく変化するという。2023年6月にはアメリカザリガニとミシッシピアカミミガメが条件付特定外来種となり捕獲、飼育は良いが逃がす事、頒布、販売購入はできなくなった。目(もく)当てクイズでは楽しみながら目(もく)の特徴を学んだ。また、堺市のレッドリストの表にある写真を見て名前を記入する作業も有り、20種ほどの虫の名前を探すのに全員集中して取り組んでいた。

 午後は野外に出て森から草地へと順に移動し昆虫を森と草地に分けて採集した。森の中ではなかなか見つけられなかったが段々調子が出てきて捕虫網を操って採集できるようになった。明るい草地では一層活発にチョウ、トンボ、バッタ、コウチュウを採集し生き生きと楽しそうだった。講義室に戻って同定作業では班毎に別れて講師に準備していただいた鉢ヶ峯の昆虫のカラーの資料を参考に森の昆虫、草地の昆虫を調べた。全部同定しないうちに時間切れになったのはとても残念そうだった。(E.H )

捕まえた。逃がさないで!

草原で虫取りに夢中です。

さあ~皆で同定「これは何目かな」?

蝶は袋に入れて、空気を抜いて観察です。

コウチュウ目とカメムシ目の違い分かりますか?

森の中へ出発!

                                                                                 

16期生5月31日の講座報告

年月日:2023年5月31日(水) 雨のち晴れ

講座名:哺乳類入門

講 師:赤木 智香子先生(ラプター・フォレスト代表)

場 所:ノバティホール・長野公園

 「犬や猫を除いた身の回りにいる哺乳類は?」と聞かれたら何を思い浮かべますか。わたしは、狸やイタチや鼠くらいですが、大阪には約40種類の哺乳類が生息しています。獣医でもある赤木智香子先生に哺乳類について話していただきました。 人と野生動物の領域である「里地里山」では、生きもののつながりの豊かさや長い年月をかけた地域特有のつながりが出来上がってきましたが、時代とともに変わっており人の手入れ不足のため自然の質が低下していると教わった。人も哺乳類もその生態系の一部です。また、森は明治時代より豊かになっているが、哺乳類は「絶滅」と「増えすぎ」の2極化となっており、実に17種もの哺乳類が大阪府のレッドリストに上がっている。

 午後からは会場近くの長野公園にでかけて動物たちの生活の痕跡(足跡・糞・食痕など)、すなわちフィールドサインを動物の気持ちになって全員で探した。残念ながら直前まで降雨があり、イノシシの糞やモグラの痕跡ぐらいしか見つからなかった。最後にリスのマツやクリの食痕を見せていただいて野外活動を終わった。これからも様々なフィールドに出かけることがあるので、フィールドサインを探すことも楽しみの一つにしよう。(H.I)

野外で観察した記録を残そう。

さあ、フィールドサインを見つけるぞ!

休憩時間にも熱心にフィールドノートについて質問

イノシシの糞、わらのようなものもあるよ。

見つけたよ! イノシシの糞とモグラの痕跡の説明

16期生5月24日の講座報告

年月日  2023年5月24日(水)  天気 晴れ

講座名:淡水魚入門

講 師:小川 力也 先生(科学教室力塾 塾長)

場 所:木根館(河内長野市立林業総合センター)・石川

 学生時代にイタセンパラの魅力に憑りつかれ、以来40年以上魚類の生態研究に取り組んでおられる小川先生。さらに、今は力塾で中高生を指導、未来の研究者を育てている。先生の膨大な知識から繰り広げられる講義に、魅了される楽しい充実した1日だった。   午前の座学では、2時間があっという間に過ぎ、もっと話を聞きたいという受講生の方がたくさんいたように思う。「おもしろい!」「楽しい!」「ええっ!ほんと?」と、身近な魚の生態の不思議を、クイズを交えてわかりやすく、興味深く教えていただき、受講生の皆さんも真剣に聞き入っていた。特に、専門のイタセンパラの生態は驚くばかりで、本当に「目が点・・・」「目からウロコ」が何枚落ちたことか。魚の世界も不思議がいっぱいだ。

また、大阪の河川、淀川や大和川、石川の深いつながり、また、明治から現代にいたるまでの人の手による開発や改修と、自然との関わりの深さ複雑さにも感じ入るところがたくさんあった。また、先生が指導された高校生たちの、~南河内地域の自然再生~石川に対する熱い思い、地域や行政も取り込んでの活動にも心を打たれた。

 午後の観察では、シニアがあっという間に子供に帰り、夢中で魚とりに取り組む姿は、微笑ましく楽しいものだった。メダカの雌雄の見分け方やヨシノボリの話、オイカワやカワムツなど、たくさん教えていただいた。他に、川エビや珍しいトンボのヤゴなども捕獲、カエルまで参加の楽しい川遊び?だった。最後のヨシノボリの卵は、感動ものだった。 (K.T)

真剣に話を聞く受講生

捕れたよ、捕れたよ!

ヨシノボリの雌

オイカワ、カワムツ

メダカの雌雄の違いは?

小川先生、見事な網捌き

捕獲大成功!

石の裏にヨシノボリの卵

何が捕れるかな?

まるで宝石みたい!

 

 

16期生5月17日の講座報告

年月日:2023年5月17日(水)晴れ

講座名:鳥類入門

講 師:久下 直哉 先生(日本野鳥の会大阪支部企画部幹事)

場 所:大泉緑地公園・新金岡公民館

 晴天ではあったが気温30度超えの予報があり熱中症の心配をしながらのスタートになった。双眼鏡や鳥類図鑑を持参している講座生が多く熱心な様子が伺えた。

 大泉池ではサギ、カワウのコロニーが見られた。中央休憩所の日陰からの観察で体の負担が少なくスコープを通してじっくりと観察することができた。大きな木の下方にはコサギ、上方にはカワウが巣を作り、側にはアオサギの巣も見られた。群れでありながら共生している様子が観察できた。成鳥と幼鳥の羽の色の違いやカワウの成鳥のエメラルドグリーンの虹彩、首元の色彩の白黒黃色のコントラスト、喉元をふるわせて暑さをしのぐ様子など講師の説明が興味深く何度もスコープを覗き飽きることなく観察した。ひなが育つ時期でもありこの様な光景を見られた事は非常に幸運だったらしい。続けて公園内でシジュウカラの囀りを聞きながら声から様子を感じ取ることやスズメの幼鳥の柔らかな色調の羽と成鳥との違いを観察した。「見たいものをじっくり見ることが観察なのですよ。」という講師の言葉が印象に残った。

 午後の座学のテーマは「鳥の羽根と鳥類標識調査からわかること」

 羽根の構造を知ること、羽根の色で種類や幼鳥と成鳥の違いがわかることを学んだ。他にも虹彩やくちばしの色も幼鳥と成鳥の見分け方になる。カスミアミを使った大規模調査で鳥に標識を付け追跡調査を行っていることも学んだ

 最後に鳥の剥製や頭骨格で構造や色彩を観察した。カラスのくちばしのキャップには大いに盛り上がった。

参考:YouTubeでイヌワシ 伊吹山 米原で検索するとライブ配信が行われています。 (E.H)

カワウ、コサギのコロニーを観察

上方にはカワウ、下方にはコサギがいます。

木の上にはカワウの巣が沢山!

講義風景

1960年頃作製の標本。色が保存されています!

標本で羽の構造を観察します。

16期生5月10日の講座報告

 年月日 : 2023年5月10日(水) 晴れ

 講座名 : 植物入門(木本)

 講 師 : 栗谷 至 先生 (大阪自然環境保全協会理事)

 場 所 : ファインプラザ大阪・光明池緑地

 午前中室内で樹木について基本的な知識を学び、午後は光明池緑地に出かけ樹木や草花の樹皮・葉・花などについて説明を受け観察した。 座学では、樹木の生存戦略(長生きする、水平に広がる、背丈を高くなど)のため、光合成したデンプンなどを幹に貯めながら縦方向にも横方向にも成長すると説明があり、樹木では樹形と光合成の働きが大事であると学んだ。 樹木の見分け方では近くで見かけることの多い「クリ」「コナラ」「クヌギ」「アベマキ」の4種類の木を、樹皮の形状からグランドキャニオンの地形変化の様子に合わせて覚えておくと三割程度の樹木は見分けることができるとのことであった。

 午後の野外観察では、ケヤキを見ながら仲間のエノキやムクノキとの違いについて説明があり、枝先と下枝の葉の大きさに違いがあることを観察した。ヒメユズリハの下では類似のユズリハとヤマモモとの違いについて、図鑑を使って「同定」の仕方を学んだ。これから図鑑を選ぶなら、種類数の多いもの、言葉より図や絵で特徴を示したものが分かり易いと助言があった。スダジイの下ではシイ類は密生して下草や他の樹木などが育たないので、大阪あたりでは最後はシイ林のままである。最後にそれぞれが採取した葉っぱから葉脈を観察し、葉脈の様子を知ることも樹木を知る一つであると学んだ。 晴天の中、講師の先生には樹木に限らず草花など目に入る植物すべてを丁寧に説明いただき、少し時間を心配しました。関心を持って見つめると、緑地の林は不思議がいっぱいだった。(H.I)

葉っぱ葉脈から導管を観る

うまくいったケヤキの強剪定痕

代表的な代償植生についての座学模様

ナラ枯れ防止、この辺りの被害は峠を越した

図鑑を使ってヒメユスリバの同定模様

枯れ枝を使って芽鱗痕の説明

16期生の4月26日講座報告

年月日 : 2023年4月26日(水) 雨

講座名 : 植物入門(草本)

講 師 : 木村 進 先生(大阪自然環境保全協会 理事)

会 場 : 堺市立栂文化会館・西原公園

 本日の講師木村先生は、タンポポの研究・調査に50年以上携わっておられる。その豊かな知識と熱意たるや、講義を受けながら何度も「目がテン」「目からウロコ」を体験した。まずは明治時代に食用として北海道に導入されたものを、かの牧野富太郎博士がセイヨウタンポポと命名したことや、やがてセイヨウタンポポが日本中に広がると予言した通り2005年をピークに外来種のセイヨウタンポポが日本在来のタンポポと次々に入れ替わっていったことなど、驚き。ところがその後日本の在来種が復活し、やがてその勢力は逆転していく。これは50年に及ぶタンポポ調査によって検証されている。

 50年と言えば西原公園のある、この泉北ニュータウンの歴史と同じである。開発とともにセイヨウタンポポが増え2005年をピークに在来種のカンサイタンポポと入れ替わっていく。そしてニュータウンに緑が増え自然が豊かな街へと変わっていくとともに、またカンサイタンポポが復活しセイヨウタンポポが消えて行く。ただし、開発工事などが行われる駅前広場や新しい農地開発の場所にはセイヨウタンポポは増えるのだ。なんと不思議。これはなぜ??? それはセイヨウタンポポとカンサイタンポポの「生態的性質の大きな違い」が大いに関係しているのである。「生態的性質の大きな違い」とは???さて、本日の学習を覚えていますか【同じタンポポでも西洋と関西(日本)では大いなる違いが・・・】「タンポポ調査を通して、自然環境を知ることが出来る」という木村先生のお話はとても興味深いものである。身近な植物から教えられることはたくさんあるのだ。目からウロコ。

 さて、午後は雨の中の野外観察。あいにくの雨と今年はタンポポの開花が早く肝心のタンポポは十分に観察出来なかったが歩く道すがら多くの植物について外来・在来や名前の由来、生態などなど多くを教えて頂き時間はあっという間に過ぎ、教室へ。その後、教室でカラスムギの穂を使っての実験と観察では教室のあちこちから「動いた」「回った」「びっくり」の歓声が上がる。ここでも、やはり目がテン。手作りのミニ図鑑もいただき、感動いっぱい、満腹の時間であった。 (K・T)

 追記:木村先生の長年のタンポポ研究に、NHKも注目。NHK「おはよう日本」4月30日(日)「サイカル研究室」で西原公園を舞台にタンポポについて放映されます。ぜひご覧ください。        

タンポポにも、いろいろあるんだなあ。

種の大きさが違うと、どんな違いが

雨の中、真剣に聴く16期生。

びっくり水につけたらカラスムギの白いノギ、軸の周りを回転

16期生4月19日の講座報告

年月日:2023年4月19日(水)雨

講座名:自然の見方と観察

講師:田中 広樹 先生(大阪自然環境保全協会 代表理事・副会長)

場所:堺市立栂文化会館 西原公園

 16期生の第1回目の講座。観察するということはしゃがみ込んで細部を見ること、俯瞰的に見ることから視野が広がり生物多様性、地球の歴史、生物の進化にまで繋がる。身近なフィールドでじっくり観察する事で自分のデータベースをつくることができる。また、観察して気付いたことを人に話すことが何より大切という事を学んだ。  野外観察においてイチョウの雌雄の木を観察し地面に落ちた雄花を拾い上げじっくり観察。雌株では葉の付け根に付いた小さな実を見つけた。実は半年かけてゆっくり成長し秋にはあの銀杏の実となる。春にはその準備が始まっている。

 午後は落ち葉を踏みしめ自然の森に入った。目を閉じて五感を研ぎ澄ますと匂い、風、鳥の鳴き声など感じることができると説明を受けた。  最後に雨の日ならではのプログラム。視点を色において落ち葉、実、花、葉っぱを集め白いお皿に盛り付け作品名をつけて写真を撮った。瑞々しい植物を使って各々の感性で制作した作品は見応えがありお互いに写真を撮り合ったりして雰囲気が盛り上がった。インスタ映えする写真撮れたかな。  (E・H)

雌雄異株のイチョウを観察

講座風景

思い思いに色集め

森の中感覚を研ぎ澄まし集中しよう

映える花のプレート

16期生の4月12日講座報告

年月日 : 2023年4月12日(水)曇り一時雨

講座名 : 開講式・ガイダンス

講 師 : カレッジ理事・16期生スタッフ

会 場 : 堺市立栂文化会館

 心配した空模様も少し雨粒が落ちてきた程度、16期生の皆さんにはほとんどその前に集まって頂けました。さあ、2年間待ち続けた16期生の新規講座の開始です。スタッフが開講式開始を告げ、相原代表理事はまず初めにコロナの影響で2年間中断し再開に心配が有りましたが、たくさんの皆さんにお集まり頂き安心しました。有難うございます」との感謝の気持ちを述べました。続いて、南大阪エリアの豊かな自然を楽しみたいとの思いから始まった「カレッジの生い立ち」や「会員数」を16期生27名・現会員数188名と報告、「活動の特徴」は少人数で和気あいあい、ホームページはスマホからも閲覧でき検索数も上位にあること、専門講師と15期生だったほやほやのスタッフや会員から選ばれた理事が運営する手作りでストレスフリーな講座であること、16期生の皆さんには自由に自分のスタイルで講座を楽しんで欲しいとの思いを伝えました。各理事からはコロナ感染防止対策や会員に応募協力頂いたお礼を述べ、記念写真の撮影を行いました。

 午後からは16期生それぞれ自己紹介の時間。講座に参加するまでの経緯やその思い、日頃の趣味や関心ごとなど紹介があり、経験豊富な様子から16期生皆さんの多士済々な様子がうかがえみんなでワクワクドキドキが楽しめそうです。その後3つの班に分かれて班長副班長を決め、講座に関する質問など意見交換。最後に次週講座の説明をし開講式は無事終了しました。(H・I)

少し緊張の記念撮影!さあ、ワクワクドキドキが始まります。

「自由に自分のスタイルで楽しんで下さい」

これからよろしくお願いします。それぞれ個性的な自己紹介。