吟行部会の11月活動報告

月 日 : 11月16日(土)

行 先 : 天王寺、新世界界隈

句会会場: 北畠会館

参加人員: 14名

兼 題 : 熊手、小春、七五三、大根

 俳句の季節では「冬」ですが、当日は秋の延長の暖かさ。吟行の場所は新世界界隈。 ここでもインバウンド状態で、外国語が飛び交う中、串カツ屋や、射的場がならぶ中を部会員は句種を求めて、うろ付き回りました。その後、昼食は各自テンシバのお店で。 途中雨も降りましたが短時間で上がり、再集合後にチンチン電車で北畠に移動し、広い北畠会館のホールで句会を行いました。(Y.M)

会員代表句

茜背に老婦は大根背負い行く   白流子

池一周頑張り歩く小春かな     尚文

大根菜間引いて食す握り飯    たけみつ

母に似た小春の庭の暖かみ     洋々志

小春日の猫の駆けづる一日愛ず  まさこ

ぽこぽこと神官の沓小六月      ゆき雄

肩上げを下ろし仕舞の七五三    みえこ

小春日の階段に座の読書人    豊年

穭田は生命力を持て余し      河笑流

日短かに背中押されてつく家路   流以

禅寺の二畳茶室や小六月     ふじ乃

変顔やこれも記念か七五三    万未知

小春日やそろそろ昼にしませうか  行行子

緑地フェス老若弾む小春の日   さんご

11月当日句

特選  長い列通天閣の冬ダイブ    さんご

    神の留守何でもありの新世界  行行子

    時雨など取るに足らぬと新世界 流以

吟行部会の10月活動報告

月 日 : 10月19日(水)

行  先 : 大阪府立弥生文化博物館、、史跡池上曽根遺跡

句会会場 : 和泉市立人権文化センター

参加人員 : 14名

兼  題 ; 十月、新米、色鳥、コスモス

 酷暑もやっと過ぎ、実りの秋の一日 あいにくの曇り空でしたがJR信太山駅から 遊歩道に導かれ 弥生文化博物館、池上曽根遺跡へ、「卑弥呼」と「弥生時代の遺跡」を巡り 太古の土木技術の凄さに驚かされました。午後は人権文化センターに移動して句会をしました。 (MT)                         

会員代表句

*見渡せばコスモス見事我ひとり        尚文

*コスモスに広角レンズ近づけり        たけみつ

*吊るし柿ジャンプで通る園児たち       洋々志

*特選に新米五キロ古都句会          ゆき雄

*幼子のリュックコスモスあふれけり      みえこ

*コスモスの風に色添へ気品かな        豊年

*声よりも先に姿の色鳥よ           可笑流

*幼子の声のみ弾む秋桜畑           せせらぎ

*気が付けばまた探しもの秋の風        都史子

*日本晴どさりと届く豊の秋          楠子

*コスモスやスカイラインを流れゆく      万未知

*炊きたての仏飯光る今年米          佐都

*色鳥や先ずは一羽が庭に降り         行行子

*十月やオレンジ色に百貨店          さんご

10月当日句

特選

*風抜ける弥生遺跡に石叩           みえこ

佳選

*身に入むや人面土器の和む唇         ゆき雄

*律の風太古の井戸に龍静か          たけみつ

吟行部会の9月活動報告

月 日 : 9月21日(土)

行 先 : 大阪狭山市民ふれあいの里

句会会場 : さやかホール内大会議室S

参加人員 : 16名

兼 題  ; 残暑、秋思、虫、芒

連日残暑厳しく今日も暑いが風がありまだましであった。今日は16名と参加人員が多く、 昼食後句会実施。本日より15期の嶋富子様が入会された。終了後今後の句会運営につき意見交換し15時30分に終了した。

会員代表句
 
 石鎚に雲噴き昇る残暑かな     白流子

 裏庭に虫の住処を残しつつ      尚文

 枯芒風のうねりを身に纏い    たけみつ

 最終バス発ちて残りし虫の聲    洋々志

 道沿ひの芒の叢の傾ぎ来て     まさこ

 甘樫に西を望みて愁思かな     ゆき雄

 青き穂や真直ぐのびて案山子立つ  みえこ

 筆を止めぼんやり窓を見る秋思    豊年

 秋雷に隠しかの名を大声で      流以

 暗闇をほのかに照らす銀芒    せせらぎ

 賢治ならオロオロ歩ク秋旱     都史子

 蹴出しより零るる色香阿波踊    ふじ乃

 花野道ちちはは越せず逝きし義兄   楠子

 爪伸びて常より伸びて残暑かな   万未知

 ゆけどゆけどすすきすすきの峠かな 行行子

 野の芒風寄す毎に身を伏せる    さんご

 当日句
 
 特選 秋澄むや二上金剛指呼の間  ゆき雄

 特選 リス園で暮らす一生秋の風  行行子

吟行部会の7月活動報告

月 日 : 令和6年7月20日(土曜日)

場 所 : 石仏寺、加賀田神社を歩く

集合場所: 南海美加の台駅改札口 10時

昼 食 : 流しそうめん(チクリンの小屋)

参加人数: 12名(投句 1名)

兼 題 : 水盤、魂祭、法師蝉、麦酒

 梅雨明けを目前の猛暑日、 南海・美加の台駅から国道を渡り坂道を上り石仏寺(いしぼとけでら)へ、空海が彫ったとされる素朴な石仏を拝観して「チクリンの小屋」へ徒歩で向かう。「チクリンの小屋」で休憩をして 加賀田神社へ向かう予定が暑さでダウン!休憩後 急遽予定変更 早目の昼食、「チクリンの小屋」亭主 井上光司氏と仲間たち手作りの流し竹で、流しそうめんを楽しんで(ご馳走様)昼食後は涼しい部屋での句会となりました。 (MT)                      

7月 会員代表句

鳴き尽くし亡き骸軽き法師蝉        白流子

憂い事麦酒で流す今宵かな         尚文

魂祭母のしぐさを真似る子ら        たけみつ

押入れの奥に水盤母の影          洋々志

炎昼や女子大生のへそピアス        ゆき雄

水盤の丸きが宇宙めだかかな        みえこ

魂祭供え上手の母は亡き          豊年

水盤の涸れたる隅に種一つ         流以

神の瀑入りて蛭に血吸はれけり       都史子

法師蝉尼寺けふは観音講          ふじ乃

義父送る精霊舟や過疎の村         楠子

水盤を前に思案の鋏かな          万未知

二時間に一本のバス法師蝉         行行子

当日句 特選

峰雲や古道名残の煙出し          ゆき雄

本尊は円らか石や夏深し          流以

吟行部会の6月活動報告

日時 :令和 6 年 6 月 15 日(土)

行先 :浜寺公園(バラ園、惜松碑)、大鳥大社

句会会場:日本料理「竜起」

参加人数:17 名

兼題 :ゆすらうめ 代田 蝙蝠(こうもり) 葭簀(よしず)

 浜寺公園のバラ園では、池の睡蓮や、時折吹く風、小川を流れる水の音に、ほんの少し暑さを忘れつつ散策することができました。また、噴水プールではしゃぐ子どもたちの声を聞きながら、惜松碑に刻まれた万葉仮名を鑑賞し、公園の松林の歴史を学びました。その後バスで大鳥大社へと移動し、参拝の後、旧熊野街道である鳳商店街を通り抜け、句会会場へと向かいました。(S.A)

〈会員代表句〉
薄昏て代田おのおの月一つ       白流子
古の海の思い出葭簀張り        尚文
葭簀張り祖母がコツクリ昼寝する    ゆう一
天地や田の字つらなり代田なる     たけみつ
田植え待つ田の多きこと能登岬     洋々志
亡夫と往く産土の地のゆすらうめ    まさこ
億万の光生ましめ代田風        ゆき雄
菓子紐の一人あやとりゆすらうめ    みえこ
生物の気合が入る代田かな       豊年
貴船には屋根にも葭簀涼を食う     河笑流
葭簀張り命澄みゆく老いてこそ     流以
お稽古の今朝の席入り葭障子      都史子
鬼遊び鬼も子も摘むゆすらうめ     ふじ乃
雨ごとに嵩む紫陽花まだみどり     楠子
水鏡あすは総出の代田かな       万未知
代田より流るる風と大合唱       佐都
なんとなく一日が過ぎ葭簀巻く     行行子

〈当日句〉
特選 「グレイス」の名札残して薔薇の散る  みえこ
    いにしへの高師の浜の松落葉       楠子

*写真はクリック毎に拡大し、解像度も上がります。

吟行部会の5月活動報告

開催日 : 5月18日(土)

行 先 : 四天王寺・夕陽丘界隈  

参加者 : 13名

兼 題 : 雷  夏帽子 ソーダ水 四十雀

 5月と思えぬほどの強い日差しの中 大阪市の上町台地の一部を散策。地下鉄四天王寺夕陽丘駅に集合。まず愛染堂からスタートしてすぐ近くの大江神社、愛染坂を下り大阪市内唯一の滝のある清水寺で涼みながら一休み。次に戦国武将真田幸村ゆかりの安居神社に。最後に四天王寺を参拝して一時解散。昼食後場所を西区民センターまでメトロで移動しての句会でした。(M.S)

 兼題と当日句の互選は次の通り

兼題句
新緑の参道駆ける人馬かな       尚文
夏帽子映画みたいに空を舞い      たけみつ
文庫本捲る手止まる春の雷       洋々志
一太刀にハルカス仕留め日雷      ゆき雄
水底に初夏の光や亀の影        みえこ
ソーダ水喉を通して昭和かな      豊年
パナマ帽澄ました父はセピア色     河笑流
新緑の光と香り部屋までも       良子
風青しうつろふダム湖の波の色     都史子
竹落葉ふかふかふかと降り積もる    楠子
しゅわしゅわは昭和の思い出ソーダ水  万未知
手を繋ぎ姉と出発夏帽子        佐都
対岸へ大声上げて夏帽子        行行子

当日句    特選  夏めくや試し太鼓の弾む音  洋々子
       入選  風薫る太子の幻影回廊に   楠子
       入選  緑陰の玉出の水の清水落つ  たけみつ

吟行部会の4月活動報告

開催日 :  4月20日(土)

行 先    :  奈良県葛城市 當麻寺

参加者  : 15名

黄砂に霞む奈良盆地、先週末に中将姫に因む練供養会式を終え牡丹祭を開催中の当麻寺へ。仁王門から、(現存天守ではないが)東西両塔が唯一残るお寺の境内を散策しながら奥の院へ。浄土庭園の牡丹や藤の花などを愛で書院で精進料理に舌鼓の後例会に移った。
参道の土産物をつまみぐい、相撲の元祖当麻蹴速塚と相撲館、お寺の国宝・重文やお庭の珍しい花を観賞したりと、盛りだくさんの吟行となった。

会員の代表句・・・兼題:春(の)宵、入学(園)、四月馬鹿、夜桜

ソプラノの高らか響く春の宵    たけみつ
 鉛筆の香り背負って入学児    洋々志
 寄する波テトラポッドに爆ずる春    まさこ
 車屋は大和をとめや春の古都    ゆき雄
 夜桜や人込みさけてシーソーす    みゑこ
 入学児帽子深くし歩きけり    豊年
 逝きし母桜しべ降る千曲川    可笑流
  (しべは漢字)
 ひと片を框へ運ぶ桜東風    流以
 友の家更地になりて春の草    上田良子
 大法螺を吹く子の一理万愚節    都史子
 花馬酔木城跡に立つ無縁塚    ふじ乃
 黄砂降る遥かなタワマンセピア色    楠子
 夜桜の闇に覗くは異界かな    万未知
 春の宵テールランプの続く帰路    佐都
 身一つをもてあましつつ春の宵    行行子

当日句
 特選  ぼうたんに慈母のごとくに白和傘    ゆき雄
 入選  蓮華座に姫の御座して咲く牡丹    ふじ乃

吟行部会の3月活動報告

日 時  : 令和6年3月16日

行 先  : 堺アルフォンス・ミュシャ館

句会場  : 堺アルフォンス・ミュシャ館のギャラリーしょうぶ1

参加人数 : 14名

兼 題  : 花冷 雀の子 山吹 花粉症

春の訪れが実感できる上天気の暖かいひよりになり、途中で上着を脱ぐ人もいた。堺東駅から反正天皇陵、方違神社経由で堺 アルフォンス・ミュシャ館までゆっくりと吟行した後、ミュシャの絵画を鑑賞した。

兼題句と当日句の互選は以下の通り。

兼題句

水温む生き物全て輝けり              尚文

花冷やつぼみも我も立ち止まり         たけみつ

眠り誘うチン電の音春うらら           洋々志

奥能登の浜の山吹艶かなれ            まさこ

花冷や神社の句座に巫女ひとり          ゆき雄

今日一輪あわせて二輪幣辛夷           みえこ

花冷のホームに響くヒールの音          河笑流

うっすらと愁ふ女雛のすまし顔           流以

プラハの春ミュシャの薔薇窓光満つ        都史子

子雀も小粋に決めるハンチング           楠子

しなる枝ぶわっと吐き出すスギ花粉        万未知

じゃばら飴本当に効くか花粉症           佐都

山吹や今は動かぬ水車小屋            行行子

雀の子漸く声が届きけり              豊年

当日句

特選 春光が掬う大の子宮まいり           流以

特選 囀や古墳の杜を膨らませ           ゆき雄

吟行部会の2月活動報告

日 時 : 令和6年2月17日

行 先 : 大仙公園

句会会場 : 堺市総合福祉会館

参加人数 : 13名(内 欠席投句1名)

兼 題 : 早春 山覚める 草餅 猫柳

仁徳天皇陵前でボランテイアさんから「古墳」の説明の後、梅の花が満開の公園内をゆっくりと吟行しました。ここ数日の暖かさで、桜の花も咲き始めていました。その後 句会会場までバスで移動しました。

兼題句と当日句の互選は以下の通りです。

兼題句

  • 春日浴びゆっくり過ごす日も楽し  尚文
  • 山覚める大地ゆるりと目覚めけり  たけみつ
  • 風も良し光また良し猫柳      洋洋志
  • 早春や伸び始めたる豆の蔓     まさこ
  • せせらぎに銀の音符よ猫柳     ゆき雄
  • 早春や淀の土手行く潮の風     みえこ
  • 初音から今日で五日目上手く鳴き  河笑流
  • きつぱりと世に出て来たり蕗の薹  ふじ乃
  • おわかれね濃く匂ひくる沈丁花   楠子
  • 塔ふたつ草餅二つ當麻寺      万未知
  • 草餅や母が使ひし皿に置く     佐都
  • 猫柳昨夜の雨を含みおり      行行子
  • 釣り人に笑みを来たすや猫柳    豊年

当日句

特選 春立つも輝き見せず濠の水   洋洋志

入選 風光り静寂(しじま)の統ぶる円(まろ)き墳   ゆき雄

吟行部会の1月活動報告

月日 :1月20日

行先 :岸和田 (蛸地蔵駅・天性寺・紀州街道・だんじり会館・岸和田城)

句会場:岸和田中央地区公民館 講座室

参加人数:14名(内 欠席投句1名)

兼題 :新年・悴む・竹馬・蝋梅

 前夜より残る雨模様でしたが、蛸地蔵駅に集合した頃にはどうにか上がって
いてゆっくり吟行することができました。
だんじり会館・岸和田城ではボランティアガイドさんの丁寧な説明につい時間が
気になってしまう程で、熱心にまた楽しく話してくださいました。
駅前商店街を抜け、天性寺、紀州街道は風情があり、古を彷彿させる町並みでした。(U.T)
*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *
◇1月度会員兼題句
・注連飾り隣近所が気にかかる    尚文
・柏手二拍淑気満ちたり龍を呼び   たけみつ
・寒日和ただそれだけの馳走かな   洋々志
・啾々と鬼も哭きをり凍つる能登   ゆき雄
・祝箸名を書く夫に傘寿くる     みえこ
・顔見せぬ孫の名前も箸紙に     河笑流
・蝋梅や何故に淋しき色つけて    流以
・句座に入る寒紅きりと引き直し   都史子
・寒風に身じろぎもせず読経僧    ふじ乃
・蝋梅の匂ひ降り来る路地の角    楠子
・竹馬を斜めに倒し駆け比べ     万未知
・悴むやリードの先に犬二匹     佐都
・竹馬やがき大将に孫九人      行行子
・竹馬が屋根に眠りたボール取る   豊年

◇当日句
特選 ・寒日和千亀利の城の濠閑か   洋々志
佳作 ・冬空の八陣の庭白く映え    河笑流
   ・蛸地蔵の謂れの寺に懐手    都史子 

吟行部会の12月活動報告

月 日 :  12月16日
行 先 :   東高野街道 道明寺界隈
句会場 :  汐ノ宮「百年邑」
参加人数 :   14名
兼 題 :   冴ゆ 年惜しむ 手袋 熊
 前日よりの雨しぐれの続く吟行会、皆さん雨覚悟の出立ち。 幸いにも風もなく空も雨を我慢してくれた天候の下、14名道明寺界隈を巡りました。 東高野街道は弘法大師が京の東寺と高野山に本拠を構えられて以来、一番よくお通いになられた街道とのこと、私たちも僅かな道のりながら大師の偉業を会間見せて頂く吟歩となりました。 (M.M)
* * * * * * * * * * * * * *
◇12月度会員兼題句
• 年惜しむ年となりゐて髪を切る たけみつ
• 陽だまりや年惜しむ程の事もなく 洋々志
• 一筆の雲鮮やかに冬はじめ                まさこ
• 百寿なるモダンな義母と年惜しむ    ゆき雄
• 冴ゆる夜の靴音星に響きけり            みえこ
• 冴ゆる空震え眺むる大三角    河笑流
• 冴ゆる夜も凛と住吉高灯籠     流以
• 走り書き多き句帳や年惜しむ   都史子
• 冴ゆる夜竹灯籠の揺らぐ道    ふじ乃
• 人の世の戦終わらず年暮るる    楠子
• 手袋を慌ててはずす着信音    万未知
• 月冴ゆる銭湯前の待ち合わせ    佐都
• 最後まで後三ページ月冴ゆる   行行子
• 忘れ得ぬあの手袋を失くしけり   豊年
◇当日句(特選二句)
• 撫牛の鼻に手を当て年惜しむ   都史子
• 濡れ砂利の清けき砂紋ふゆの寺   流以

吟行部会の11月活動報告

月  日:11月18日(土)

場  所:天見駅周辺(河内長野市)

参加人数:13名

兼  題:「時雨」「小春」「木守柿」「熱燗」

 雨降りの中、天見駅で集合。急な冬の訪れに寒い寒いと言いながらそれでも普段見られない雨に煙る山里を堪能し昼食と句会会場である 山川草膳「久右衛門」さんへ。雨の為予定より早く迎え入れていただきました。句会中、風が吹いたり、霰が降ってきたり、雷が鳴ったり、時折晴れ間がのぞいたりと冬の天気のオンパレード。変化に富んだ空模様を楽しみ、暖かい部屋での句会。帰りは嘘のような青空でした。(KT)

11月度会員代表句

短日の門を灯して出かけたり    尚文

淡墨の暮るる山々夕時雨      たけみつ

小春日が覗く新芽に宿りたる    洋々志

山間の高稲架闇に吞まれゆく    みえこ

思い込め取り残したる木守柿    河笑流

空と地をふうはり分きて時雨雲   流以

もう鋏届かず百の木守柿      都史子

立ち話また人増えて小春空     ふじ乃

山里に生きて渋柿くれし友     楠子

出雲路や傘を忘れて時雨ゆく    万未知

亡き父とたたみいわしと熱燗と   佐都

花街の匂ひを変へて小夜時雨    行行子

買い物の一と品忘る時雨かな    福老

当日句(同票)

特選 猫走るつかの間霰降り初めて 楠子

特選 山里は冬の気配や山瘦せる  みえこ

 

吟行部会の10月活動報告

月 日 : 10月21日(土)

場 所 : 富田林 寺内町散策 

参加人数 : 10名(欠席投句1名)

兼 題 : 菊、赤い羽根、秋収め、月

 さわやかな秋風に子供だんじりのお囃子に出迎えられ、河内長野寺内町(国の重要伝統的建造物群保存地区)へ、ボランティアガイドの案内で寺内町散策、白壁に大きな屋根 電線は地下 景観は素晴らしい旧杉山家住宅へ(重要文化財)丁度、期間限定で「露子忌」を展示していた。お天気にも恵まれゆっくり散策出来ました。 (MH 代MT)

10月会員代表句

秋暑く世の中異変起こりけり  尚文

菊の香の衣まといて坂下る   たけみつ 

暮れてなお工場の明かり降り月  みえこ

旅立ちは昴に召され秋の日に   河笑流

寂寥の間も与えずや秋の暮    流以

雲は神の通ひ路月まどか    都史子

渋皮煮作りて配る秋納め     楠子

見得を切る武者人形は菊満開   万未知

緩和ケア渇いた口へ菊の酒    佐都

和服着る蒼き眼の人月の宴    行行子

数百の階段上る月見かな    福老

当日句

特選 白塀の高き小窓に秋の風   行行子

入選 秋風に大屋根競う昔町    万未知

 

吟行部会の9月活動報告

開催日 : 令和5年9月16日(土)

行き先 : 紀の川市「道の駅 青洲の里」(旧名手宿本陣、春林軒、フラワーヒルミュージアム)

参加者 : 14人(ほかに欠席投句2人)

残暑どころか、酷暑、猛暑、溽暑、いや炎暑――。JR名手駅から会場まで、往復、汗びっしょりの「死の行軍」。  「前もって、季語『秋涼し』を使って当日句を作っていたのに、作り直す羽目に。トホホ」と某参加者。  当日句をあらかじめ作ったらダメという教訓になったことでしょう。帰りのJRの車内が天国でした。(Y,W)

兼題:夜長 墓参 生身魂 秋刀魚

会員代表句

高齢者夜長にすべき事もなし  尚文

祖母しやがみ七輪の網秋刀魚焼く  ゆう一

熟柿落つ廃屋赤く染めにけり  たけみつ 

赤とんぼ村にも昭和が消えてゆく  洋々志

彼の人と黙分け合ふて花野ゆく  まさこ

墓石の消えたる横の墓洗ふ  ゆき雄

遠き日を手繰り寄せるや墓参  みえこ

優勝の熱気持ち込む秋の朝  河笑流 

鰻なら喉を通ると生身魂  流以

ちゃん付けで呼ばるるはなき墓参かな  都史子

捨てる本また書架に置く夜長かな  ふじ乃

本堂の読経微かに墓参り  楠子

司馬遼の余談ばかりの夜長かな  万未知

長き夜やおむつの老犬すやすやと  佐都

さまざまの老いの姿や秋刀魚焼く  行行子

生身魂頑固飛ばして笑ひけり  福老

当日句

特選 魁の医聖尋ねて秋暑し  ふじ乃

入選 秋暑し名手本陣の抜ける空  河笑

*写真はクリックする毎に拡大され、解像度も上がります。

青洲の里

吟行部会の7月活動報告

月 日 : 2023年7月15日(土)

行 先 : 新檜尾公園(堺市)

 お天気や暑さを心配しつつスタート。光明池駅すぐ傍の新檜尾公園。メタセコイヤの大木の並び立つ園内をそぞろ歩き。さらに周遊路(緑道)に入り、樹木や道端の花、金剛、葛城の山並みの遠望を楽しみつつのんびり歩く。 そして、堺市内に40数基も点在するという5世紀頃の円墳のひとつ、二本木山古墳に。 急な石段をあえぎつつ登頂。男女2体の骨が石棺内に眠っていたという。 古墳を下り、ニュータウンと農村地域との境界に建つ古民家に。きれいな緑色の稲が爽やかに揺れる田んぼの傍。 地産地消、自然栽培野菜のお弁当をいただいた後、いつものように句会スタート。 粛々と選が進む。さらには当日句の作成と選句。予定通り進行し、終了で御開き。(MUK)

露天風呂ひとり静かに雲の峰   尚文

石垣に蜥蜴の姿消えにけり  ゆう一

白南風や白樺抜けて八ヶ岳  たけみつ

七月や二上金剛蒼きこと 洋々志

白南風や列車に猛る土佐の海 まさこ

散骨の幼馴染よ青嵐   ゆき雄

地の上に一瞬の虹るり蜥蜴   美枝子

白南風を裂かむとばかりライオン佇つ(まつ)  流以

白南風や姉となる子はじっとせず 都史子

朝焼をまとひて機体上昇す ふじ乃

夾竹桃凶弾浴びし人悼む  楠子

銀色のエフワンのごと蜥蜴ゆき  万未知

雲の峰古宇利島へと続く橋   佐都

白南風や客満席の渡し船   行行子

連峰を捉える如く雲の峰   福老

〈当日句〉

青田風地域野菜のお弁当   佐都

古墳には古墳の匂ひ蝉しぐれ  行行子

吟行部会の6月活動報告

開催日 : 令和5年6月16日(金)

行 先 : 平野郷散策(杭全神社、大念仏寺、全興寺など)

句会会場 : がんこ平野郷

参加人員 : 13名(ほか投句者1名)

梅雨晴れ間の快晴の中、昔の環濠集落である平野郷を散策しました。杭全神社では楠の巨樹や足を縛られた狛犬など。次の大念仏寺は大阪府で最大の木造建築の本堂は改築中でしたが、境内の藤棚の下で、涼しい風が心地よくしばし休憩。最後の全興寺は、地獄や極楽の部屋などがあるユニークなお寺でした。そこから歩いて加美駅近くのがんこ平野郷で食事をし引き続き句会を行いました。(Y.M)

兼題:黴(かび)、短夜、草取り、雨蛙

会員代表句

老夫婦じっくり淹れる新茶かな   尚文

雨近し蛙(かわず)元気になかまよぶ   ゆう一

黴青くワインは赤く香りたち    たけみつ

御仏や太古の黴の香を纏い   洋々志

満目の早苗田つなぐ高圧線   まさこ

ひたすらに一句求めて草むしり   ゆき雄

細き苗ゆらす水田の雨蛙   美枝子

短夜や昨夜(ゆうべ)の夢に戸惑ひぬ   流以

悪茄子てふ言はれなき名の花可憐   都史子(投句)

短夜や父の釣り舟もう沖に   ふじ乃

昭和には全校挙げて草取り日   楠子

欅の樹ぐいとつかんで雨蛙   万未知

今日も無事老犬の朝明早し   佐都

黒靴の黴をぬぐいて三回忌   行行子

6月の吟行句

 特選 千年の樹勢を今も樟若葉  ゆき雄

 特選 大屋根や瓦勧進幟立つ   美枝子

吟行部会の5月活動報告

開催日 : 令和5年5月20日 (土曜日)

場 所 : 高倉寺 寶積院(堺市指定有形文化財)      

句会会場 : 泉北ラボ

参加人数 : 12名

泉北ニュータウンの古刹 高倉寺.寶積院を訪ねました。ここは泉北ニュータウンの玄関口「泉ヶ丘駅』から徒歩で行けます。今日はこの高倉寺 寶積院にある小堀遠州若年の作と伝えられている小庭園、亀の形をしている「亀の庭」と豊臣秀吉がここで茶会を開いた時に「聚楽第」から一字とって「寶聚庵』と命名した茶室を拝観させて頂く予定だったが 茶室は現在使われてなく外から眺めるだけになりました。お庭をしばし観賞して寺内を散策。徒歩で句会会場へ会場のランチボックスを利用して昼食、そのまま自由に句作
オープンなレンタルルームでまた 一味違った吟行でした。(M.T)

・5月兼題 八十八夜・幟・巣立鳥・薫風
・5月会員の代表句
薫風や鯉ひるがえる芥川   尚文
薫風の飛鳥路駆けるニューファミリ  たけみつ
風燻る美男で座す阿修羅像  洋々志
ロシアへと帰るも定め巣立鳥 ゆき雄
立漕ぎのセーラー服や青嵐  美枝子
薫風や各駅停車に乗ってみた 河笑流
朝戸開けとまれ目高をひいふうみい  流以
年中の手間を忘るる苺時   都史子
たかだかと武者絵の幟里の庭  楠子
野菜苗を買うて八十八夜かな 万未知
巣立鳥教え子の笑むスクリーン 佐都
風薫る先達ここでひと休み  行行子

・5月当日句特選
青葉風本尊不在新御堂     楠子
・当日句入選
新都市に鎮むる寺や庭涼し  ゆき雄
雨上り青葉簾の参詣路    都史子
宝積院菩提の花の髙きかな  河笑流
夏立つや亀の甲羅もさみどりに  たけみつ

吟行部会の4月活動報告

開催日 : 4月15日(土)

行 先 : 狭山池博物館

句会会場 : 狭山池博物館会議場

参加者 : 13名

 あいにくの雨であったが新入会員2名を含め13名参加で盛況となった。  大阪狭山市駅より狭山池博物館へ、約1時間見学し副池オアシス公園へ  自由散策。食事後1時より狭山池博物館会議場にて約2時間句会実施。(H.O)

    今月の兼題   山笑ふ 春雨 春愁 鳥帰る

    会員の代表句(欠席者投句を含む)

      目的地まだかまだかと山笑ふ      尚文

      昼飲みの居酒屋ありや鳥帰る      たけみつ

      湖に映る花かき分けて蜆船       洋々志

      囀りや古墳の杜の円舞曲        まさこ

      句敵と近江の春を惜しみけり      ゆき雄 

      この坂の向うに見たき水芭蕉      美枝子

      たたずみてスタート切れぬ春愁ひ    河笑流

      春雨にそっと包まれ山憩ふ       流以

      春光の弾くる朝や靴を履く       都史子

      流鏑馬の射手の背凛々し春の雨     ふじ乃

      春愁やサックスの音にほどけゆく    楠子

      鳥帰る生家跡には他人の住む      万未知

      春雨や部活帰りの初デート       佐都

      春雨や遠ざかり行く母の傘       みつひろ

   当日句  特選

      副池に雨の波紋や鳥帰る       河笑流

      つばくらめ行基の池に戻り来て    ふじ乃 

吟行部会の3月活動報告

開催日 : 3月18日(土)

行 程 : 本町駅~芭蕉終焉の地跡~南御堂~北御堂~御霊神社~愛日小学校跡碑~懐徳堂跡碑~珠幼稚園~適塾跡~栴檀の木橋~中央公会堂~句会場(チルコロ)

参加者 : 10名

新型コロナの影響で地元の泉北・河内長野を吟行地としていたが、久々に大和川を越え大阪市内中心部まで足を延ばした。昨夜来の雨も上がり、本町から淀屋橋にかけての御堂筋界隈は高名な俳人の句碑や近代的なビルと旧跡との対比も面白く、句材豊富な吟行であった。

会員の代表句(欠席者投句2句含む)・・・兼題:春、春場所、猫の恋、夏蜜柑

 今日も又梅の木眺め一休み  尚文

 春場所や呼び出し難し四股名あり  たけみつ

 カルメンの激しき踊り猫の恋  洋々志

 春コート裾ひらひらは無視します  まさこ

 恋猫の闇歪ませてをりにけり  ゆき雄

 踏青や無口な人の握飯  美枝子

 釣糸の眠げに並ぶ池の春  流以

 老梅もひと花咲かせる気概あり  河笑流

 中辺路の牛馬童子と初音聞く  都史子

 老爺逝き崩れ土塀の夏みかん  ふじ乃

 夏蜜柑ぺろりとひとつ母卒寿  楠子

 我もまた一心不乱に猫の恋  万未知

当日句

 特選 蕉翁の旅路の果てや入り彼岸  万未知

 佳作 碑文にて商都今昔涅槃西風  都史子

 

吟行部会の2月活動報告

126回2月度部会報告

日 時 : 令和5年2月18日(土)10時30分~16時

場 所 : 堺市総合防災センター

句会場 : 堺市美原文化会館 研修室

参加者 : 12名

堺市総合防災センターは災害への防災の知識と技術が学べる、昨春オープンした施設です。交通アクセスは悪いのですが大阪狭山市のコミュニティバスが2月から運行してグッドタイミングでした。 吟行句会で詠む句についてや、季語の持つ言葉のちからや相応しい選び方などを学びました。(M.N)

当日参加者の代表句

春の海朝霧眩しカメラマン        尚文

春浅しライオンは日向を歩き       たけみつ

風花や鷺超然と池の端          洋々志

土分けて芍薬の芽の真紅かな       まさこ

さみどりに香りぎゆぎゆつと蕗の薹    ゆき雄

廃村はあの日のままやふきのとう     美枝子

大楠の小さき祠に春の色         流以

主無き庭の片隅蕗の薹          河笑流

針供養裁縫台の母の背          都史子

春浅し迷いくぢらの引かれゆく      ふじ乃

人恋ふはなほせぬ心春の風邪       楠子

鼻腔へと広がる苦み蕗の薹        万未知

当日句                     

特選  春泥のトルコ思いつ学ぶ地震(なゐ) ゆき雄

入選  蘇る惨事の映像寒き春      河笑流

堺市総合防災センター全景

吟行部会の1月活動報告

125回令和5年1月度吟行部会報告

日 時 ; 令和5年1月21日(土)10時~15時

場 所 ; さかい利晶の杜 句会会場;堺市総合福祉会館

参加者 ; 10名

天気予報では最高気温8度でしたが、幸いなことに風がなくて日中は過ごし易かったです。 千利休屋敷跡でボランテイアさんの説明を聞いた後、入館して展示物の見学をしました。 午後の堺市総合福祉会館での句会では、活発な意見が出て充実した時間を過ごしました。(M.F、写真Y.M)

当日参加者の代表句  

山を巻き学校あげて兎狩  ゆう一

初日の出砂の峰より出でにけり たけみつ

熊野街道北風ひとつ通りけり 洋々志

欅枯る一樹の拡ぐ空蒼し  まさこ

帯締めを斜めに結び小正月   ゆき雄

雪うさぎ朱き実二つ残しけり 美枝子

茂みよりちゅじゅじゅざわざの寒雀 流以

鈍色の空ふわふわと牡丹雪   河笑流

葉を矯めて一間床に野水仙  都史子

大北風に挑みし烏羽根疎ら  ふじ乃

朝まだき土手の水仙にほいくる  楠子

白に赤仕上げは緑雪兎  万未知

当日句

特選  闊歩せし晶子の着物日脚伸ぶ  ゆき雄

特選  侘助を利休好みに投げ入れて 万未知

吟行部会の12月活動報告

第124回吟行部会報告

 実施月日 : 令和4年12月17日(土)

実施場所 : 天野山金剛寺

句会会場 : 河内長野 ノバティホール 会議室B

参加人数 : 11名 

 出かける頃からポツポツときて、そぼ降る雨の中の吟行となりました。「この前はよく通っているのに境内に入ったことがなくて」というメンバーもあり、ボランティアガイドさんに説明・案内していただいきました。仏に出会い、建造物が全て重要文化財という寺史と歴史にも思いを馳せながら作句することができました。

当日句を回収後すぐにコピーすることで、書き写す手間と時間が軽減され、充実した句評の時間となりました。(T.U)

参加者の代表句(欠席投句1)・・・・12月度兼題:「冬日和」「障子」「ポインセチア」「年の暮」

・我が部屋に差し込む光冬日向      尚文

・友見舞い昔話の冬日和          たけみつ

・寒暁の日本に歓喜三苫の駆       洋々志

・一筆の雲鮮やかに年の暮         まさこ

・青春の光のポインセチアかな       ゆき雄

・伊勢神楽若き笛方指細し          美枝子

・ティラノザウルス骸(むくろ)の如き冬の枝     流以

・凍てる朝恩師の訃報LINE鳴る      河笑流

・酩酊の我を見つむる篝火草        都史子

・年の瀬や第4楽章諳(そら)んずる        ふじ乃

・ポインセチア二十歳の頃の服残し     楠子

・子らのいる障子の内は別世界       万未知

当日句

特選句

・邪鬼を踏む白眼の仁王冬の雨      ふじ乃

入選句

・南北朝流転のみかど冬紅葉        楠子

 

吟行部会の11月活動報告

第123回吟行部会報告

実施月日 : 令和4年11月19日(土)

実施場所 : 花の文化園(河内長野市)

参加者 : 10名

小春日和の柔らかな陽ざしの中、園内を皆で眺めているとボランティアの方が声をかけてくださり、急遽園内を案内して下さいました。桜の原種のひとつと言われているヒマラヤ桜、小さなセンブリの花(表現ができないほど苦いとか)。また花びらと思っていたのが花だったりと花の仕組み等、目から鱗のお話を12時過ぎまでたくさん聞かせていただきました。さながら植物部会のようでした。 ただそこはやはり吟行部会。この花は季語になるやならないやら、スマホで調べながら納得。午後からの句会に向けて各々メモをとりながら散策は終了。 昼食後は、園内の「園芸室」をお借りして落ち着いた雰囲気の中句会を行いました。文、写真(K.T)

◇11月度兼題:「時雨」「七五三」「蜜柑」「湯冷め」◇〈当日参加者の代表句〉

・もらい湯は下駄の響きと湯冷めかな       ゆう一

・蜜柑山斜めに立ちて鋏入れ           たけみつ

・夕闇を誘いて妖(あや)し石蕗の花        洋々志

・時雨るれば黙もあらむや山路行く        まさこ

・三山を墨絵のごとく奈良時雨          ゆき雄

・忘れごと多き一日(ひとひ)やつわの花      美枝子

・小夜時雨あさの車になごり留め         流以

・太陽が嫉妬するよな蜜柑畑           河笑流

・村時雨つくり酒屋の墓仕舞ふ          都史子

・亥の子餅配りつ貰ふ夕間暮れ          ふじ乃

・旧友の消息聞きし小夜時雨           楠子

・時雨ゆく神代もかくに嫁ケ島          花井万未知

〈当日句〉

特選句

・寒晴を黄金に染めて巨き杉           ゆき雄

入選句

・シクラメン誰が名付けけむ篝(かがり)火(び)草(そう)        流以

ヒマラヤ桜

センブリ

メグスリの木サーモンピンクの紅葉

吟行部会の10月活動報告

第122回吟行部会報告

実施日 : 令和4年10月15日

吟行場所 : 和泉リサイクル環境公園

句会会場 : 和泉シティプラザ運動室

参加人数 : 12名

 10月初旬までの30度を越える残暑も一段落、吟行当日は 爽やかな秋晴れの下、リサイクル公園へ。最寄りバス停より車を避けながら道の端を歩くこと20分、うっすら汗を浮かべながらも無事到着。 目の前に満開のコスモス畑が広がっている。土曜日ということもあり、たくさんの人たちに混じり園内を巡る、立派なコスモスの群生に胸の辺りまで浸かり散策。青空とコスモスのコントラストが美しい。 その隣には 真っ赤なコキア(ホウキギ)ふわふわの丸いフォルムが一面に燃えているよう。なんとも迫力がありつつも可愛らしい! 皆な、いい句がたくさんできますように…。

 昼食後、句会会場に。吟行部会始めての試みとして、堺市で俳句指導されている楠本義雄先生をお迎えしての句会。初めは少々緊張気味だったものの、的確なご指導、普段は添削や評を頂くことが難しい当句会にいい刺激を頂きました。先生の温かいお人柄と皆さまのご協力に救われて和やかに句会を終えることができました。(M.M)

◇当日参加者の代表句◇

※10月度兼題:長月 苅田 串柿 火恋し

 *車行く右も左も刈田かな      尚文

 *十三夜濡れて荒磯光ゆれ     たけみつ

 *彼岸花恋の初めは通せんぼ    洋々志

 *秋祭り綱曳く子らも豆絞り    まさこ

 *藁の香は幸せの香よ新刈田    ゆき雄

 *かつらぎの朱き季節や柿簾    美枝子

 *地車のバチや心臓持っていく   流以

 *二度見するスーツ姿の案山子かな   河笑流

 *ひこばえの急いて穂を出す苅田かな   都史子

 *無人駅フェンスに絡む蔦紅葉   ふじ乃

 *向き合いて畚いっぱいの柿をむく   楠子

 *長月や夜を跨ぎて読み耽り    万未知

◇当日句◇

 ☆特選    *コスモスの万の色映え蒼き空    ゆき雄

 ☆入選    *コスモスの海に葛城ぷくり浮く   都史子

         *蒼天や火の玉のごと草紅葉    楠子

吟行部会の9月活動報告

第121回 吟行部会報告

実施月日 : 令和4年9月17日(土)

実施場所 : 堺駅から旧堺燈台

参加者 :  11名

  2~3日前からの台風情報で気が揉めましたが当日は 曇天ではありましたが、少し強めの秋風も心地よく感じられ 南海堺駅から徒歩で大浜公園へ、公園に通ずる橋の欄干で旧堺港を見つめる「南蛮人」に挨拶 その向こうに「龍女神像」が見える。 遊歩道の先には旧堺燈台 対岸には南蛮貿易で栄えた堺旧港の日本最大級の「壁画」、 6.96mの日本一 低い山『蘇鉄山」に登頂等々 大浜公園を巡り堺駅に戻る。 各々昼食を取った後 ニコニコカルチャースタジオで句会、2か月ぶりの部会、お天気にも恵まれ? 海風も楽しく感じました。   (M.H)         

当日参加者の代表句 (欠席者投句 1句)   (兼題) 「燕帰る」 「蓮の実」 「墓参」 「秋の暮」

* 敗荷やカメラ構えて立ち止まる       尚文

* 燕去る空の巣残し我残し           たけみつ

* モノクロの木立を覆う星月夜          洋々志

* 晩夏の森音吸ひ尽す苔の森         まさこ

* 秋雲や葛城二上信貴生駒           ゆき雄

* ふる里の言葉に戻る墓参          美枝子

* ひと漕ぎのペタルが走る秋の暮        流以

* 秋の暮施設の窓のシルエット          河笑流

* 風の色高野を巡る女人みち          都史子

* 点鬼簿に兄の名記す墓参り         ふじ乃

* 父知るは五指にも満たず墓参り       楠子

* 著変なし夕げ漂う秋の暮          万未知

当日句   特選

* 秋を背に湾に凛々しき龍女神      流以  

* 身に入みて昔日の燈我照らす       たけみつ

吟行部会の7月活動報告

第120回 吟行部会報告

実施月日 : 令和4年7月16日(土)

実施場所 : 太子町・竹内街道

参加者 :  12名

 開始前の午前9時ごろは、どしゃ降り。「この調子では、実施は無理かな」と一時は諦めかけた。 ところが、集合の9時半には小雨になり、その後はずっと曇天で、暑くない絶好の吟行日和となった。 最初の叡福寺では江戸時代に再建された堂塔や宝蔵を見学。隣接の聖徳太子御廟では円墳を囲む結界石などを見て、街道へ。 旧山本家住宅は豪壮な茅葺き。昔の民具などを鑑賞しながら、しばし休憩。 竹内街道歴史資料館は、江戸時代の絵図や巡礼者にからむ資料などを展示しており、それらを見てから、昼食と句会。南河内の長い歴史と貴重な文化を再認識する充実した一日となった。(文責・渡口)

当日参加者の代表句    兼題 「極暑」 「片陰」 「昼寝」 「茄子」

  • 朝一番玄関初蝉飛びにけり          尚文
  • 省エネに空念仏の極暑かな          たけみつ
  • 午後三時槌音止まる三尺寝         洋々志
  • 陽を受けてきゅきゅと鳴きさう茄子の紺    まさこ
  • 片蔭の濃きを辿りて寺内町          ゆき雄
  • ゼロの列スコアボードの極暑かな        美枝子
  • 極暑来る指輪一つの重きこと         流以
  • 極暑日や虫干からびて庭帚          河笑流
  • 壊されし極暑の町に風ありや         都史子
  • 沖遥か入道雲の力こぶ            ふじ乃
  • 水茄子の薄皮一枚水保つ          楠子
  • 熊野路は大河も細る極暑かな        万未知

当日句  

  • (特選) 太子廟千四百年の蝉しぐれ      万未知
  • (入選) 老鶯の一声雨の叡福寺         洋々志
  • (入選) 結界の石柱揺らし蝉時雨        ゆき雄

 

吟行部会の6月活動報告

第119回吟行部会、6月活動報告

実施月日 : 令和4年6月18日(土)

実施場所 : 光明池周辺

参加者 : 13名

曇天ながら、光明池駅を出発、よく整備された緩やかな登りの林を抜けて、光明池畔に到着。雨乞い蛙像から、池の畔を歩く。 川鵜や鯉等との出会いを楽しみ、植物観察しつつ、美しい光明池大橋へ。その中央で手を叩くと、その反響も面白い。 その直ぐ近く、池に隣接する《こうみょういけ茶論》さんにて、昼食、句会、更には、美味しいお抹茶とお菓子をいただき、大満足で、帰路のバス、でした。 (文責:村上)

当日参加者の代表句・・・・・・兼題 : 麦の秋、紫陽花、青嵐、麦酒(ビール)

  • 一粒の水滴光る花菖蒲        尚文
  • 本堂の甍が光る立夏かな       ゆう一
  • 碁盤の目黄金に染まり麦の秋    たけみつ
  • 清流の魚籠に三本缶ビール      洋々志
  • 朴の葉の返りて白し青嵐       まさこ
  • 泥染めの田を起こすごと青嵐                ゆき雄
  • ふる里は雨の匂ひやかたつむり    美枝子
  • 紫陽花の首定まらぬ花瓶かな      流以
  • ヤゴに名を付けて見守る空青し    河笑流
  • 棚田なるその一枚に麦の秋      都史子
  • プーチンよ戦いやめよと麦の秋     桂子
  • 子連れ鳬往なしつ農夫早苗植ゑ    ふじ乃
  • 麦の秋砲弾ききし麦のあり       楠子
  • 仏より紫陽花愛でる古刹かな     万未知

当日句 特選二句

  • 河鵜行く底に雲ある今日の池     美枝子
  • 河鵜立ち身を整える水鏡        流以

吟行部会の5月活動報告

第118回 吟行部会報告

実施月日: 令和4年5月21日(土)

実施場所: 和泉市・信太の森

参加者:  12名

今にも雨が降りそうな中、安倍晴明とその母の白狐で有名な信太の森に出かけました。先ずは、大楠が聳える葛葉稲荷神社に参り、旧府神社を経て、熊野街道へ。途中から、聖神社の大鳥居をくぐり、信太丘陵の坂道を登り聖神社の本殿へ。白鳳時代に創建された由緒ある神社の境内で、吟行句のネタ探しを兼ねて休憩。その後に鶴山台団地に隣接する鏡池、信太の森ふるさと館へ。ふるさと館の研修室をお借りして、昼食。引き続き句会を開催しました。途中、雨にも会わず暑くも無く楽しい句会でした。(文責:松下)

当日参加者の代表句    兼題 「立夏」 「柏餅」 「桐の花」 「麦わら」

  • 光る海思わず停める立夏かな          尚文
  • 柏餅祖母の手際が蘇る               ゆう一
  • 青空に花の挿すごと桐の花            たけみつ
  • 麦わらの散らばる牛舎昼静か           洋々志
  • 桐の花ひと際高し天を突く             まさこ(投句)
  • 初物は豆飯と決め老いの卓           ゆき雄
  • 山に来て山の脹らむ立夏かな           みえこ
  • 麦わらの帽子記憶のワンシーン        河笑流
  • 知床の海の深さよ夏嵐              流以
  • 忠魂碑村人供ふる柏餅              ふじ乃
  • 桐の花落ちて大樹を知りにけり         都史子
  • 年ごとに立夏を待たず半袖に         楠子
  • 空の青かの国想う立夏かな           万未知

当日句  特選二句

  • 万緑に浮かぶ朱色や和泉の社(しゃ)        ゆき雄
  • 万緑の大樹を守る石狐             万未知

吟行部会の4月活動報告

第117回 吟行部会報告

日  時  令和4年4月16日(土)

場  所  岩室山 観音院

参 加 者  13名

コロナ拡大で部会もWEB句会が主流になって部員が顔を合わすことが出来なくなっていましたが、ようやく 今年度初めての部会を再開することが出来ました。泉北ニュータウンから少し外れた閑静な岩室山 観音院ご住職から観音院の縁起を伺った後、ご厚意で本堂をお借りしての句会。お天気にも恵まれて「御衣黄桜」「八重桜」の咲く院庭を散策しながら、新しい部員2名を迎えて、部会を行いました。  (文責 M.T)

当日参加者の代表句

  • 山道をゆるり登りてきじの声     尚文
  • 若布干す磯の香懐かし鳴門浜     ゆう一
  • 三陸の若布刈る娘のまなこ澄み    たけみつ
  • 戦場の靴音鈍し春の泥        洋々志
  • 和布刈舟関門峡の潮速し       まさこ
  • 雉の声女人高野の塔越へて      ゆき雄
  • 熱き湯に一瞬の青生わかめ      美枝子
  • 行く春を惜しみて眺むる空は青    河笑流
  • 風吹くな風吹くな小粉団の花     流以
  • 故郷の焙る香ほのか板若布      都史子
  • 子ら走りこでまり揺れる通学路    桂子
  • 若布刈る磯に賑はふ土地言葉     ふじ乃
  • 横殴り桜吹雪に舞う帽子       中楠萬壽子
  • 行く春や常温で飲る吟醸酒      花井一道

当日句

特選  観音寺石段走る花の塵         洋々志

入選  御衣黄の葉よりも淡き花の色      都史子

吟行部会の12月活動報告

第116回吟行部会報告

日時;令和3年12月18日(土)10時10分~15時

場所;久保惣美術館 句会会場;和泉市シティプラザ

参加者;11名

この冬一番の強い寒気が流れ込んだ日に12月度吟行部会の開催となりました。折悪しく泉北高速鉄道も人身事故で延着しましたが、皆様定時に集まって下さって久保惣美術館で展示品を鑑賞しました。その後、薄日の射す中を句会会場の和泉シティプラザへとバス組・歩き組に分かれて移動、句会に取り掛かりました。(M.F)

当日参加者の代表句  

今も尚華やぐ心クリスマス  尚文

敗戦後震(ふる)え凍(こご)えたもがり笛  ゆう一

ランプ宿野天にプカリ柚子湯の香  たけみつ

日本海拉致半世紀虎落笛   洋々志

吹き寄せし落葉蹴飛ばし下校の子  まさこ

虎落笛役行者の叫びとも   ゆき雄

年の瀬や干支の大絵馬虎となる  美枝子

小さき手を逃げてはぷくり柚子湯かな  流以

四方より鳥の声降る冬日和   河笑流

柚子風呂に笑顔笑顔の老いを見る  笑子

容赦なくひとり居叩く虎落笛   都史子

寒声(かんこゑ)の途切れとぎれに明けの浜  ふじ乃

当日句

特選  冬うらら太古の青銅酒器に酔ふ   流以

入選  年経りし象嵌の彩冬一日   まさこ

入選  遣り水の流れし先に寒椿   ゆう一