石ころ部会の10月活動報告

月 日:R5年10月27日

場 所:兵庫県川辺郡猪名川町 多田銀銅山遺跡                                                                                                                                                                                                                                                                                                  

参加者:22人

活動内容:

 晴れやかな秋空の下、今日は多田銀銅山遺跡の見学である。22名が阪急電鉄川西能勢口駅前に集合。バスに揺られること30分、歩くこと20分で多田銅銀山悠久の館に到着。4人のボランティアガイドの出迎えを受け、4班に分かれて見学開始となる。見る物は多岐にわたるが、主なものは悠久の館の展示(銀銅山に関わる鉱石、道具、絵図、古文書など)、隣接の悠久広場(明治期の精錬所跡:レンガ構造物とレンガ敷遺構)、坑道(台所間歩、瓢箪間歩、青木間歩)など2000以上もの坑道があるそうだが、青木間歩では実際に坑道に入り、幾つもの鉱脈(石英脈)をくっきりと見ることができた。国史跡、町指定天然記念物の大露頭まで歩けば当時の鉱山の賑わいが窺える。鉱山の神様を祭る金山彦神社はスズメバチの巣が撤去されずに放置されているとかで参拝は取り止め。様々な遺構に目を奪われながらもよく歩いたものだ。万歩計は既に12000歩。そうこうする内に空模様も怪しくなり、家路を急ぐこととなったが、有意義な一日であった。

地質学の観点からポイントを整理すると:

 ● 多田銀銅山は二つの地質から構成されている。東側はジュラ紀以前に形成された超丹波帯と丹波帯の堆積岩類の地層が露出している。西側はその後の白亜紀後期に噴出した有馬層群の火山岩類(主には流紋岩質溶結性凝灰岩)がそれら堆積岩類を覆う形で分布している。

 ● 多田銀銅山は熱水鉱床に分類されるが、火山活動で熱水が岩の割れ目に入り、熱水に溶け込んだ銀や銅、鉛などの鉱物が石英成分とともに沈殿し隙間を埋めた鉱脈(石英脈)を有する。当地では主に班銅鉱、黄銅鉱に銀鉱物をともなう銀銅鉱が採掘された。何れも少量の銀が含まれるのが多田銀銅山の特徴のようだ。(I.S.)

多田銀銅山1

多田銀銅山2