月 日 : R5年6月23日
場 所 : 高槻市 摂津峡
参加者 : 17人
活動内容 :
昨夜来の雨も早朝にあがり、梅雨の晴れ間のひと時、17名が摂津峡の自然史ハイキングを楽しんだ。石ころ部会としてはこれまで大阪平野の東側(生駒・金剛山地)や南側(和泉山脈)の地層を主に観察してきたが、北側の北摂山地は今回が初めてである。当地は丹波層群、大阪層群などの地層と火成岩(花崗岩、流紋岩など)の相互の関係が観察でき、それら岩体の新旧の関係や日本列島の形成史を学習するには格好の場所とされる。
いざ出発。JR高槻駅からバスに乗り、上ノ口で下車すると目の前に小高い丘がある。ここは大阪層群の海成粘土層の観察ポイントであるが、アクセスに難があり、今回は観察を諦め、摂津峡に入る。今回も佐藤先生に観察地点の先々で解説をして頂いたが、どれだけ理解できたか、いささか心もとない。渓谷の絶景、谷川のせせらぎ、目の前を飛び交う蝶やとんぼ。頭の体操、目の保養、心の保養。摂津峡公園桜広場で解散。楽しい一日であった。
学んだこと
摂津峡周辺の地層は丹波帯に属す。砂岩・泥岩、チャート、珪質泥岩、石灰岩、緑色岩などから成り、およそ8億年前~2.0億年前に形成された。当時はユーラシア大陸の東端にあったが、海洋底に堆積したチャートや石灰岩等が海洋プレートの移動によって大陸側の砂岩や泥岩に混ざったもの。(古い岩体の下に新しい岩体が潜り込んでいる:付加)
- 摂津峡花崗岩と関係する火成岩(安山岩、流紋岩など)は約8000万年前に泥岩・砂岩に貫入したもので、摂津峡ではこれらの火成岩が貫入した際の熱で砂岩・泥岩がホルンフェルス化している。
- 泥岩と花崗岩の接触部や泥岩に貫入した流紋岩の岩脈を佐藤先生は指し示されたが、苔の繁殖や地層の汚れの為か、判然としなかった。砂岩泥岩互層として白黒の縞模様やグレーディングが観察できる筈であるが、明確な確認はできなかった。地層を洗えばみえるのであろう。互層ができるのは1000年に1度程度の大地震により浅い海底の砂や泥が混濁流となった後、粗い砂から先に、その後、細かな泥が遅れて堆積するためである。
- 芥川の河原(摂津峡大橋近く)のレキの観察で確認された岩石は砂岩、泥岩、チャート、石灰岩、花崗岩、流紋岩、緑色岩であった。泥岩や砂岩のホルンフェルスは確認できなかった。(河原ではなく、火成岩との接触部で見る必要がある)
- 石灰岩の同定には塩酸溶液(トイレの洗剤など)が有効であることが実感できた。(I.S)
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