石ころ部会の5月活動報告

月 日 : R5年5月26日

場 所 : 大和川・亀の瀬付近の河原、亀の瀬地すべり資料室(大阪府柏原市)                                                                                                                                                                                                                                                                                                   

参加者 : 25人

活動内容 :

梅雨入り間近ではあるが好天に恵まれ、25名が河内堅上駅に集合。亀の瀬方面に100mほど歩くと路の左側(北側)に急崖がある。佐藤先生の説明により花崗岩の露頭と分かる。先に進むと目の前に大和川、その対岸には明神山が見える。安山岩溶岩の噴出によるものであるが、美しい山である。更に進んで亀の瀬地区の河原におりる。そこは10~30㎝大の礫で埋め尽くされており、先月に行った石川の河原とは大分様相が違う。石の観察と鑑定にうんちくを傾けた後は佐藤先生の最終鑑定と説明に興味津々。納得するも直ぐに忘れてしまいそう。昼からは「亀の瀬地すべり資料室」に移動し、地すべりの学習である。よどみのない係員の説明(名調子)が耳に心地よい。亀の瀬は古来より大和と河内を結ぶ龍田古道の要衝(天然の関所)。北側の山は地すべりを起こしやすい地層(大地が最大で30mも移動した)。そのため大和川が氾濫、ひいては奈良盆地や大阪平野で浸水の被害を起こす。対策として、山の土塊の除去、杭打ち、地下水の抜き取りなどを行なっており、今では地区内の地すべりは殆どなくなっているそうである。資料館を出て、排水トンネル内部と近年発見された亀の瀬トンネル(明治25年完成)の遺構も見学した。地すべり対策事業の規模の大きさや明治期の鉄道トンネル施工技術に感銘を受けて亀の瀬を後にした。内容の濃い学習の一日であった。

学んだこと

ü  花崗岩は西日本の主な基盤岩(約8000万年前の岩盤)であり平地で露頭を見れるのは非常に珍しい(六甲、生駒、金剛の山々はそれが隆起したもの)

ü  大和川の南側の明神山は二上山とほぼ同時期(約1500万年前)の火山活動で安山岩溶岩を周囲に広範に噴出した。斑晶のない緻密なサヌキトイドも見られる。

ü  大和川の北方のトメショ山周辺も約1500万年前に噴出したドロコロ溶岩流によるドロコロ火山岩(安山岩)が分布している。

ü  地すべりの本体(土塊)はドロコロ溶岩であり、その下は花崗岩である。その境目にレキ層と粘土などの滑り易い地層がある。そのため、地下水などの影響を受け、上部の土塊がゆっくりと動き出して地すべりを起こすようだ。

ü  大和川河原で一番多く見られた石ころはサヌキトイドを含む多種多様な安山岩のレキであった。次に多かったのは花崗岩とチャートであった。

ü  先月観察した石川のように流紋岩や溶結凝灰岩は殆ど見られず、安山岩が圧倒的に多かった。花崗岩やチャート、片麻岩などは両河川に共通して多く見られた。(I.S.)

河内堅上駅から亀の瀬の大和川河原、地すべり対策施設等の見学

亀の瀬の岩石(資料館の展示標本と今回河原で採集した石ころ)