石ころ部会の4月活動報告

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月 日:R7年4月25日

場 所:嶽山(富田林)、汐ノ宮(河内長野)                                                                                                                                                                                                                                                                                             

参加者:22人

活動内容:

今年度の石ころ部会の入会者は47人。うち、22人のメンバーが、薄曇りの空の下、地質学の佐藤さんと近鉄汐ノ宮駅前に集合。先ずは嶽山に向かって出発。道沿いの山藤が美しい。喘ぎ喘ぎ歩くこと30分で何とか中腹の願昭寺に到着。境内から羽曳野丘陵のパノラマを展望し、佐藤さんの説明を聞く。細長い台地が南北の方向に幾重も延びているのがよく分かる。眼下の高等学校辺りを山裾に嶽山は東側にそびえ立っているが、その地層は礫岩であるようだ。願昭寺の傍の登山口から山道を少し上ると、確かに30㎝から1m大の礫岩(花崗岩)が道を埋めているのが分かる。更に山道を登れば嶽山火山岩の露頭があるのだが、悲しいかな、老齢の身にこれ以上の山登りは荷が重く、観察を断念し、願昭寺に引き返す。

昼食後は石川に戻り、河原の石ころや汐ノ宮火山岩の露頭の観察を行う。露頭周辺の川底からはブクブクと泡(炭酸ガス)が出ている。佐藤さんは川底にペットボトルを逆さまに立ててガスを採取。着火した線香をペットボトルに差し込むと線香の火は消えた。湧水から放出された炭酸ガスのせいであろう。そして火山岩の観察であるが、柱状節理の見られる火山岩は大阪府下では当地のみ、河内長野の自然遺産候補でもあることから、ハンマーで叩くのは控え、周辺に落ちている岩片を拾っての観察である。見るもの、為すこと、盛沢山、有意義な一日であった。

見たもの、学んだこと:

  • 羽曳野丘陵:石川と東除川の間に挟まれ、藤井寺、羽曳野、富田林、河内長野を跨ぐ南北に長い丘陵(台地)である。海底に堆積した大阪層群の地層であるが、大凡100万年前に隆起したもの(上町台地や千里丘陵、枚方丘陵、泉北丘陵なども同様)。生駒・金剛山地なども同様にプレートの動きにより基盤(花崗岩)が南北長く隆起したもの。
  • 河原の石ころ: 佐藤さんの鑑定で最終的に11種類の岩石に分類された。 多かったのは花崗岩、砂岩、礫岩、チャート。他は閃緑岩、泥岩、安山岩、サヌキトイド、石英、片麻岩、凝灰岩。
  • 汐ノ宮火山岩: 二上山や嶽山と同時期(1500万年前)に活動した瀬戸内火山帯の溶岩が噴出した火山岩である。以前は玄武岩とされていたが、シリカ成分(SiO2)の分析から現在は安山岩に分類されている。この安山岩は長石の斑晶がなく、讃岐周辺のサヌカイトと似ていることからサヌキトイドとも称される。かんらん石や輝石の斑晶があることや、成分的にマグネシウムの多いのも特徴である(嶽山火山岩も同時期に噴出した安山岩質溶岩であるが、組成は微妙に異なる)。火山岩の下には花崗岩や安山岩の礫岩である。川底の火山岩の割れ目から炭酸ガスが湧出しているが、有馬温泉と同じくフィリピンプレート由来の深部流体であるようだ。

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