月 日:R6年11月22日
場 所:紀伊丹生川河畔(和歌山県 九度山町)
参加者:25人
活動内容:
爽やかな秋空の下、会員25名と地質学の佐藤さんの総勢26名が九度山駅前に集合。目的は紀伊丹生川河畔の地質と石ころの観察である。丹生川河畔まで約30分、六文銭の旗のはためく真田の道を歩く。途中、真田の屋敷跡である真田庵に立ち寄る。この一帯は三方を川(北は紀の川、西と南は丹生川)で囲まれた天然の山城であったそうだ。周辺の何軒かの民家の石垣や土塀が目に留まる。緑や黒、茶色、大小様々な石が標本のように埋め込まれている。全て地元の石なのであろう。総勢26人が民家の石垣の前に暫し佇む。観光の町としては珍妙な光景であろうが、佐藤さんの解説を聞き、質疑応答が始まる。これだけで今日の目的は半ば達成とも思えるが、丹生川と紀の川の合流地点まで更に歩く。紀の川を挟んで北は和泉山脈、南は紀伊山地の山々が悠然と連なり、目の前の川面は秋の日差しがキラキラと光る。川の両岸には緑色岩などの露頭がある。(先日の雨上がり時に見た時は対岸の露頭が緑色に染まり綺麗であったのだが、晴天の今日はそれ程でもない。)露頭の観察の後は川原に下りて石ころの採集と鑑定を始める。大小様々な石で埋め尽くされているが、概して緑や黒の大きな石が多い。近くの山の石であろう。見慣れない石が多く石ころ採集にも熱が入る。昼食後、佐藤さんの鑑定と説明を聞いた後、思い思いの石を手土産に晩秋の九度山を後にした。
見たもの、学んだこと:
- 地質図でみると今回の観察地点は四万十帯に属する。その東側には秩父帯、西側には三波川変性帯が接している。また、紀の川を挟んで北側は和泉層群が広がっている。
- 四万十帯の四万十層群は砂岩、頁岩、チャートなどで構成されているが、海洋プレートの沈み込みに伴う強力な圧縮力により変形作用を受けている。
- 緑色岩は海洋性の玄武岩が変性作用を受けたもので、鉱物として緑泥石を多く含むと濃い緑色、緑簾石が多いと薄い緑色になる。
- 今回採取した石は最終的に佐藤さんにより砂岩、泥岩、赤色泥岩、チャート(以上堆積岩)、緑色岩、緑色片岩、黒色片岩、砂質片岩、珪質片岩(以上変成岩)と鑑定された。石灰岩らしきものもあったが、サンポール(塩酸溶液)には反応せず、石英質の岩石と判定された。(花崗岩が1個あったが、よその土地のものが紛れ込んだようだ。)
- 昨年9月に行った学文路近傍の紀の川と今回の丹生川の河原の石ころを比較すると:緑色岩はどちらの河原でも見られたが、丹生川の方が圧倒的に多かった。結晶片岩はどちらでも多く見られたが、紀の川の方がもっとキラキラと光っていた。紀の川では花崗岩や流紋岩などの火成岩も多く見られたが、丹生川では見られなかった。