月 日:2025(R7)年9月22日
場 所:和歌山市加太(城ヶ崎海岸の地質と岩石の観察)
参加者:18人
活動内容:
昨日迄のうだるような暑さが嘘のような、涼しくさわやかな秋空の下、部会員18人と地質学の佐藤氏が南海加太駅前に集合。城ヶ崎海岸(瀬戸内海国立公園)の地質観察である。駅前より歩くこと30分で目的地に到着。青く広がる空と海、緑なす山々と島々、絶景である。誰もいない公園の眼下には波に洗われた岩場(波食台)が拡がっている。ここで当地の地質学的なポイントについて佐藤氏のガイダンスを受ける。そして、階段を下りて波食台に向かう。足元が不安定な岩場を恐る恐る歩き、観察のポイントを見つめ、手で触り、思案し、時を忘れる。好天に恵まれ、多くを見て、学び、気持ちのよい一日であった。(今回は波食台の観察の為、日程を通常の第4金曜日から潮位の低い第4月曜日の9月22日に変更した)
見たもの、学んだこと
- 当地の地形: 当地は中央構造線の北側にあり、和泉山脈の西端をなす。地層はこれまでに行った犬鳴山や滝畑と同じ和泉層群のものであるが、断崖や斜面ではなく波食台(海岸での波の浸食により出来た平坦な岩盤状の地形)があるため観察が容易である。
- 中央構造線: 日本がアジア大陸の一部であった頃にできた横ずれ断層である。九州東部から四国、紀伊半島を経て、遠くは関東まで横断する世界第一級の断層である。地震の発生源となる活断層としての側面もある。
- 和泉層群: 約7000万年前、中央構造線の北側が陥没することにより細長い海(海盆)が出来た。この海盆に土砂が砂と泥の層をなして堆積したのが和泉層群である。四国西部から紀伊半島にかけて中央構造線の北側に沿って最大幅15㎞、東西300㎞にわたって分布している。層の厚さは最大7000m。現在の和泉山脈はその後の地殻変動により隆起したものである。
- 砂岩・泥岩の互層の意味するもの: 巨大地震により陸からの混濁流が海底に流れ込むと砂岩と泥岩の互層ができる。(100年から1000年に1回、巨大地震が起こるとすれば、7000mもの厚さに堆積するには何回の大地震があったのか)
- 波蝕台で観察したもの:
(1) 地層の傾き: 垂直とまではいかないが、45度以上のかなりの高角度である。
(2) ソールマーク: 砂岩層の底にみられる模様。水流が泥の層を削る時に出来るスプーン状のフルートマークや、水流により小石などが海底を削った半円柱状(凸型)のグルーブマークなどがソールマークの一例である。
(3) 横ずれ断層: 左横ずれ断層を確認。ずれ幅は2m程度か。これは中央構造線の派生断層であり、城ケ崎断層と命名されている。形成年代は不明。

城ヶ崎海岸と波食台

波食台:ソールマークの観察

波食台:地層の傾斜、横ずれ断層の観察