月 日:R7年5月23日
場 所:猪名川の川原(伊丹市 軍行橋東詰)
参加者:25人
活動内容:
心配された雨もなく、まずまずの天気。会員25名と地質学の佐藤氏がJR福知山線北伊丹駅前に集合。歩くこと20分で軍行橋東詰めの猪名川と箕面川の合流地点に到着。六甲や北摂の山々に囲まれた広大な川原は大小様々な石で埋め尽くされている(10㎝大が多い)。それらの石をおぼつかない足取りで踏み分け、踏み分け、岸辺に辿り着いて活動開始。先ずは当地の地質学的な特徴についての佐藤氏のガイダンスの後、石ころの採集、観察、分類が始まる。これまで石川や、大和川、紀の川などの川原の石ころを何度も見てきたが、猪名川の石ころは見た感じが大分違うことから、我々の分類もいささか心もとない。畢竟、佐藤氏の最終鑑定では大幅な手直しとなり、鑑定の難しさを思い知る。照り返しのせいか、それとも石に当たったのか、少々ばて気味で、早々に本日の活動は終了。伊丹空港から飛行機が轟音とともに急角度で飛び立ち、空に消えていくのを何度も見る。若かったあの頃の空の旅に思いを馳せ、帰路に就いた。
見たもの、学んだこと:
- ●約1億年前(白亜紀中期)、当地周辺は海洋プレートの沈み込みに伴う火成活動が活発であった(西南日本内帯火成作用)。この結果として地殻の大部分は領家帯花崗岩や有馬層群の溶結凝灰岩で覆われている。北側(北摂山地)は年代的に更に古い丹波帯のジュラ紀付加体(砂岩、泥岩、チャート、石灰岩、緑色岩など)で覆われている。猪名川の石ころはこれらの地質を反映したものである。また、有馬高槻断層帯を筆頭に多くの断層がある。
- ●石ころ鑑定の結果: 佐藤氏により最終的に花崗岩、閃緑岩、流紋岩、緑色岩、泥岩、砂岩、泥岩砂岩のメランジェ、チャートの9種類に分類された。
- ●量的には泥岩と砂岩が圧倒的に多く、泥岩・砂岩互層のものも多く見られた。一部は泥岩と砂岩のメランジェと判定された。メランジェ(メランジ、メランジュ)とは整然と堆積した地層が変形により混沌とした状態になったもので、プレートの沈み込みの際にできる付加体に多く見られる。
- ●我々の分類で花崗岩としたものも多かったが、花崗岩に通常みられる明瞭な結晶が殆どないことから、佐藤氏は完晶質のものを細粒花崗岩とした以外は全て溶結凝灰岩と鑑定した。また、花崗岩らしいものでも石英を含まないものは閃緑岩とした。
石ころ鑑定
猪名川の石ころ分類
石ころ鑑定
猪名川の川原