石ころ部会の9月活動報告

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月 日:R5年9月22日

場 所:和歌山県 橋本市 紀の川河原(南馬場緑地広場近傍)                                                                                                                                                                                                                                                                                                  

参加者:20人

活動内容:

 昨夜来の豪雨も明け方には上がり、総勢20名が橋本市学文路駅前に集合。駅前の通りから紀ノ川沿いのサイクリングロードを歩くこと30分、緑地グラウンドの手前を折れて少し進めば紀の川の広大な河原と無数の石ころ群が現れる。多少の増水はあるものの、昨夜の豪雨を物ともせず紀の川は悠然と流れている。9月とはいえ、まだ夏の猛暑がこたえるが、気持ちが安らぐ。専門家の佐藤隆春先生より流域の地質について説明を受けた後、石ころ拾いが始まる。河原の石ころはこぶし大、またはそれ以上もあり、色彩豊富で美しい。図鑑を参考にするなどして思い思いに拾った石ころの分類を試みるが、見当のつかない石ころが多く、「不明」として山積みに置かれる。それらの多くは最終的に佐藤先生の鑑定で泥岩や砂岩とされた。泥岩や砂岩の鑑定は比較的に容易と思っていたのだが、意外や意外である。気に入った石ころをリュックに入れ、滴る汗を手で拭い、そこかしこに秋の気配を感じながら帰路についた。

観察のポイント:

  • 紀の川は源流のある大台ケ原を北上し、中央構造線の南側を西に向かって紀伊水道に流れる。流域の地層は海洋起源の四万十帯、秩父帯、三波川帯などの岩石からなっている。これらは付加体である。中央構造線の北側(大阪側)は領家帯花崗岩や和泉層群、泉南流紋岩などの地層からなる。また、周囲にはそれらより年代的に新しい(1500万年前の)火山岩の地層が散在している。今回の観察地点では想定通り、それらを起源とする多種多様な石ころが観察された。観察された石ころは以下の通り。
  • 変成岩としては緑色片岩、黒色片岩、砂質片岩などの結晶片岩が多かった。
  • 堆積岩としては泥岩、砂岩、石灰岩、チャートがみられた。泥岩や砂岩は通常我々が目にするものとは異なり、他の岩種と混ざり合った形状の複雑なものであった。このことから当地の堆積岩は四万十帯ではなく秩父帯の堆積岩(泥岩、砂岩)と推察される。和泉層群の泥岩、砂岩とも違うようであった。
  • 火成岩としては領家帯の深成岩(花崗岩、閃緑岩、斑レイ岩)の他、火山岩(流紋岩、安山岩、玄武岩)も見られた。これらの火山岩は1500万年前の火山活動によるものと思われた。他に、海洋起源の玄武岩とされる緑色岩も散見された。
  • 他に石英が多くみられたが、岩石の割れ目に入り込んだ石英質の脈が岩石の風化後に残ったものなのか。 (I.S.)

紀の川 河原の石ころ採集と鑑定風景

石ころの鑑定結果