石ころ部会の9月活動報告

月 日:R6年9月27日

場 所:室生(奈良県宇陀市)                                                                                                                                                                                                                                                                                               

参加者:14人

活動内容:

連日の猛暑もひと休止、明け方にひと雨あったのか、爽やかなハイキング日和である。近鉄室生口大野駅に火砕流堆積物の観察を目的に14名が集合。駅前から宇陀川に向かい、大野寺の対岸まで歩く。目の前の高さ15mの急崖には摩崖仏(鎌倉時代の弥勒像)が、少し手前には小ぶりの大黒天石仏(大正時代)が刻まれている。崖の岩石は室生火山岩であるが、凡そ1500万年前の火砕流堆積物だそうである。先ずは火砕流堆積物の成因などについて佐藤先生の説明を聞いてから、要所要所で露頭を観察し、室生ダムまでの坂道を歩く。ダム広場で昼食を摂った後、別のルートで大野寺前の河原に引き返す。ここで石ころの観察・鑑定を行って本日の予定は終了。太古の昔、この地で起こった壮大な火山活動に想いを巡らせ、室生を後にした。坂道の往復で疲れはしたが、充実した一日であった。

学んだこと、見学したもの

  • 室生火山岩: 今から凡そ1500万年前、大台ケ原近くのカルデラ火山の大爆発により火砕流が発生し、堆積したもの。堆積物は火山灰と軽石、石英などの結晶が高温によりガラス状に変質した溶結凝灰岩である。火砕流は数10キロ四方(西は玉手山周辺まで)を埋め尽くし、その高さは最大400m程度もあったが、その後の川の浸食作用や風化により現在の姿になっている。火砕流の規模としては阿蘇山が世界最大と言われているが、それと同程度であった。柱状節理が明瞭に見える。
  • 柱状節理: 火山から流れ出た溶岩や火砕流が冷えて固まる際に体積が収縮して出来る割れ目である。大野寺の前の河原の石畳には直径2~3mの六角形(または五角形)の割れ目が見えるが、これは柱状節理を上から見た断面である。急崖の縦の割れ目は柱状節理の側面である。火砕流は基盤岩である花こう岩の上に堆積し、柱状節理は低温の地面側から上に向かって形成された。ダム広場の一角にダムの建設時に移設された柱状節理が1本置かれているが、側面を下方向と上方向に撫でてみると、上から下にすべすべ、下から上にざらざらとした感触であった。柱状節理は時間の経過とともに下から上に形成されたことが分かる。
  • 宇陀川の河原の石ころ鑑定:一番多く見られたのは溶結凝灰岩、次に多かったのは花こう岩(閃緑岩を含む)と片麻岩であった。他に、砂岩、泥岩、チャート、石英(石英岩、石英脈岩)も見られた。溶結凝灰岩は石英の結晶に富んだ灰白色の「白岩」と黒いガラス質の「黒岩」の二種が見られた。冷え方の違いによるようだ。

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